- 行政・業界団体
26/10/08
適正原価検討会、荷主も納得できる内容要望 経団連などヒアリングで
国土交通省は10月1日、適正原価の設定に向けた有識者検討会を開き、運送業界、経済団体、荷主団体へのヒアリングを行った。いずれも適正原価に賛同を示したが、経済団体などからは荷主側も納得できる内容にするよう要望が上がった。
ヒアリングは、適正原価の制度設計や運用で考慮する事項を聞き取ることが目的。今回は全国通運連盟、交通労連、経団連、全国中小企業団体中央会、日本新聞協会が考え方を説明した。
通運連盟は、鉄道貨物利用運送は発着地での集配、鉄道幹線輸送、発着駅での荷役、コンテナ運用などを一体的に提供するサービスと説明。適正原価を単にトラックによる集配部分で捉えるのではなく、一貫輸送網全体の原価を適切に反映させる必要があるとした。
設計に当たっては、鉄道輸送・集配・駅構内荷役・コンテナ運用・空コンテナ回送の一体的評価や、待機・荷役、検品、遅延・運休に伴う費用の適切な評価、コンテナ単位の実取引と届け出タリフ(運賃表)の実態の制度への反映など計10項目を要望した。
交通労連は標準的な運賃を踏襲して設計する案が示されたことに対し、さらに運行形態やコスト上昇などの取引実態を考慮する必要性を指摘。十分な運賃の支払いを前提に、例えば、物流効率化によるコスト削減が適正原価の算出で評価される仕組みを設けることに関しては、効率化で運送コストが削減できても、付随する管理費を反映させる必要があるとした。

前回のヒアリングの内容も踏まえ、次回以降で具体的方向性の検討に入る
モデル運賃設定で懸念示し
また、参考指標として適正原価を基にしたモデル運賃を提示する案には賛同しつつ、荷主がモデル運賃を払えばいいという基準にならないようにすることを要求。適正原価を地域ごとに設ける案には、ダンピングを防ぐため、運送契約の締結時、運送企業が所属する地域の適正原価を基準とするのではなく、発荷主の所属地域で設定し、適正原価を下回る契約は違反とするべきとした。
一方、経団連は荷主・物流企業の双方から寄せられた意見を基に考えを述べた。事業種別の設定は貸し切りを基本としつつ、共同輸配送などの推進を踏まえ、特積みの適正原価を別途設定してはどうかと提案。車型・車種の設定に特殊車両を加えることや、地域ごとの設定は10ブロック単位とすることを求めた。
標準的な運賃から見直すべき算定方法では、企業努力の反映を挙げた。一例として、配送効率・実車率の向上や間接費削減などの努力を競争力に反映できるよう、適正原価を基準に輸送ルートや荷主ごとの割引を認める案を示した。
配慮義務などで対策を提示
適正原価の実務上の課題については、配慮義務の明文化を提示。荷主が運送各社の詳細な原価を把握し続けることは難しいため、運送企業からはっきりとした指摘がない限り、荷主が配慮義務違反に問われないことを明確にするよう求めた。
交渉猶予期間の十分な確保も要望し、荷主が余裕を持って交渉・検討できるよう、公表データや共通の計算式を活用した透明性の高い算出ルールの整備も必要とした。
日本新聞協会は、新聞輸送に業界特有の事情があることを強調し、業種ごとの事業形態を踏まえた柔軟性の確保を要望。適正原価導入に当たり、一定の猶予期間と段階的な導入、物流効率化への従来以上の国の支援も求めた。
執筆者:Ye-Live編集部
物流の専門紙『輸送経済』がリリース情報を中心にお届けしています