- 物流企業
24/12/09
公取委、独禁法疑いでイトーキ警告 3件目の「物流特殊指定」
取引先の運送企業の残業代などを払っていなかったとして、公正取引委員会は11月28日、オフィス家具大手のイトーキに対し、独占禁止法違反の疑いで警告した。物流分野で不公正な取引方法を禁じる「物流特殊指定」による警告は2009年4月以来、3件目。
公取委によると、イトーキは複数の運送企業にオフィス家具の運送、据え付けといった業務を委託。8時間の基礎作業時間を超えた業務は、残業代を払う契約をしていたが、年度末の繁忙期などで残業が発生しても払わなかった。また、車両へのオフィス家具の積み込み、こん包資材の返却といった契約外の付帯作業も無償で行わせていた。
公取委は、一連の行為が独禁法の物流特殊指定に当たる恐れがあると判断。問題のある行為を取りやめ、同じことを繰り返さないよう警告した。審査過程で、イトーキからは過去にさかのぼって無償で行わせていた業務の対価を支払うことや、取引条件を見直し、書面で明確化する措置を講じる旨の申し出があった。
取引適正化で改善策を発表
イトーキは28日、ホームページ上で「今回の行政指導を極めて重く受け止め、委託先物流企業との取引適正化に向けた取り組みを全社を挙げて推進し、適切な関係の構築を進めていく」と発表。過去の対価の支払い、運賃体系の見直しと書面化以外に、物流コンプライアンス(法令順守)の知見を持つ担当者の設置と教育・研修の徹底、取り組み内容の社内外への周知徹底を行った上で、公取委に報告するとした。
物流特殊指定は、立場の強い荷主の優越的地位の乱用を規制するために指定された独禁法の告示。代金の支払い遅延や減額、買いたたきなどを禁じている。過去には09年に建機レンタルのユナイト、インテリア材卸のリリカラに警告を出している。