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23/02/14

トラック運送、価格転嫁状況は最下位 「全くなし、減額」40%

 中小企業庁が昨年秋に行った中小企業の価格転嫁状況調査で、労務費やエネルギーなどコスト上昇に対するトラック運送の転嫁率は全体の46・9%に対し20・6%と、前回調査に続き全27業種中最下位だった。減額を含め全く転嫁できていないケースは40%超あった。
 調査は、中企庁が2021年9月から価格交渉促進月間に合わせ年2回行っている、コストの転嫁状況に関するもの。今回は22年9月下旬~11月初旬にアンケートを実施し、同4~9月の半年間の転嫁状況に関し中小企業15,195社から回答を得た。
 価格転嫁の状況を尋ね発注側企業の業種別に集計した調査では、コスト上昇の3要素のうち、エネルギーコストの転嫁率は前回5~6月調査の27位から24位に上がったが、労務費と原材料費は27位のままだった。
 また、価格が据え置かれるなど転嫁「0割」が33・8%、減額されるなど「マイナス」が8・6%で計42・4%あった。

受注側業種別でもワースト

 さらに今回追加した、業種ごとに受注側中小企業が発注側企業に交渉、転嫁してもらえたかを尋ね評価した調査で、「価格交渉を要請し、応じてもらえた業種」ランキングではトラック運送は全22業種中19位、「価格転嫁を要請し、応じてもらえた業種」ランキングでは最下位の22位だった。
 22年4~9月の半年間のコスト上昇分のうち、何割を転嫁できたかの問いに対し、22業種全体ではコスト上昇分の半分近くを転嫁できた一方、トラック運送では転嫁率は18・6%にとどまった。
 価格転嫁に応じてもらえた業種は、転嫁率の順に卸(64・6%)、紙・紙加工(61・8%)、小売り(57・4%)、機械製造(55・7 % )、建材・住宅設備(52・7%)などとなった。
 中企庁は、10社以上の受注側中小企業から主要取引先として挙げられた発注側企業148社をリスト化。佐川急便、日鉄物流、日本通運、日本郵便、日本郵便輸送、ヤマト運輸の名前が並び、日本郵便への価格転嫁状況は回答の平均が「減額」を含むマイナスだった。