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22/07/05

中企庁調査、運送は価格交渉厳しく転嫁も全業種で最下位

 原材料やエネルギー価格などの上昇分の転嫁状況を確認したところ、トラック運送の価格転嫁が最も進んでいないことが中小企業庁の調査で分かった。価格交渉の協議も進んでおらず、課題が浮き彫りになった。
 調査は5月11日~6月17日に実施。中小企業など約15万社に、発注元となる親事業者(最大3社)との価格交渉・転嫁に関するアンケートを依頼し、1万3078社から回答を得た。
 中企庁は直近6カ月間の価格交渉の協議と転嫁のそれぞれで、進ちょくを採点できるようにし、業種別に平均点をランキング化したところ、トラック運送は価格交渉で全27業種中26位と金融・保険に次いで悪い結果だった。協議の状況を尋ねたところ、最も多かったのは「協議を申し込み、話し合いに応じてもらえた」で45・5%。「応じてもらえなかった」は5・9%にとどまった。
 また「コスト上昇分を自社で吸収できるため、協議を申し込まなかった」(17・2%)、「発注量の減少や取引を断れる恐れがあることなどを考慮し、協議を申し込まなかった」(16・8%)とする回答も見られた。見積もり出すも無回答続

 一方、回答企業の半数弱が話し合いを行ったものの、コスト上昇分の転嫁が進んでおらず、トラック運送は業種別のランキングで最下位だった。
 価格転嫁の状況を聞いた問いでは、費用が上昇する中、価格が据え置かれる「0割」との回答が最多で47・3%を占めた。価格転嫁ができたのは全体の37・5%で、「減額された」との答えも1・8%あった。
 この他、調査では過去のヒアリング結果で、十分な価格交渉が行われていない状況がみられた企業約1500社に対し、下請Gメン(取引調査員)が4月18~28日に電話で聞き取りを行った結果も報告。トラック運送では「燃料上昇分を中心に年4回料金を見積もって交渉を行っているが、現在まで無回答」「建設関係の運送では全国規模で一律の運賃基準があり、個別交渉は難しい」などの声が上がった。