▽BTS型施設
Build to Suitの略でBTS。不動産会社が手掛ける物流施設のうち、入居企業の要望に沿って造った施設。
→〝あなた好み〟に造ります
施設保有は経営負担になるので避けたいが、自分好みの施設を使いたいという企業ニーズに対応したもの。温度管理や両面バースなど、借り手の要望を最大限追求する。10年以上の長期契約で、不動産会社側は安定収入が見込める。契約満了後は工事で汎用施設に様変わり。日本では汎用の複数テナント型施設が主流だが、BTS型も増えている。
最新業界動向
輸配送だけなく、保管・仕分けから流通加工まで荷主の物流を一括で担う3PLにとって、間取りが広く高効率な物流センターは必須。1年更新など短期契約を結ぶ荷主が増える中で、特定施設を自社保有するリスクを避けるために、賃借することも多い。EC(電子商取引)の拡大も、賃貸型の大型物流施設需要をけん引している
物流不動産の一形態
オフィスやマンションより安定した賃料収入が見込める物流施設を、優良投資物件として開発・運用するビジネスモデル、あるいはそうした施設そのものを物流不動産と呼ぶ。2008年のリーマン・ショックで一時投資は冷え込んだが、2010年代に入ると盛り返し、物流不動産として開発された3万平方メートル超の大型施設は首都圏、関西、中京をはじめ全国主要都市で急増した。
用途、業種でタイプ使い分け
この物流不動産には不特定多数に賃貸するマルチテナント型施設と、特定顧客の要望に沿って土地選定・設計・開発を行うBTS型施設の2種類がある。BTS型はいわば〝あなた好み〟の賃貸施設。一例が、大和ハウス工業が手掛け16年にしゅん工したヤマトホールディングスの中部ゲートウェイ。BTS型は景気に左右されず長期契約が見込め、リピーターが多い。反対に、景気に敏感な業種ではマルチテナント型の一部を間借りし、すぐに解約可能にしておく使い方もある。