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25/12/09

ドライバー賃金、30年度に全産業平均超に 交通基本計画で目標掲げ

 国土交通省は2030年度までに、営業用トラックドライバーの賃金を全産業平均以上に引き上げる方針だ。第3次交通基本計画に目標を盛り込む。未曽有の人口減少社会に突入する中、物流の機能強化や効率化とともに、賃上げにつながる施策を推進し、持続可能な物流を実現する。
 11月28日に開かれた社会資本整備審議会と交通政策審議会の合同会議で、交通基本計画の案を示した。同計画は13年に施行した交通政策基本法に基づき、交通に関わる方針や目標、政府が進める施策などを定めたもの。第3次計画は30年度までを期間とする。
 次期計画は人口減少という危機を好機に変え、一人一人が豊かさと安心を実感できる持続可能な活力ある経済・社会を実現することが基本認識。物流では、ドライバーの残業上限規制に伴う24年問題に対応するため、抜本的・総合的な対策を実施しているが、さらなる取り組みの必要性を強調。次期総合物流施策大綱を基に、物流効率化や商慣習の見直しなどが必要とし、具体的な施策や目標値を明記する。
 このうちの一つがドライバーの賃上げで、次期計画では24年度に平均年収492万円だった大型ドライバーと、437万円だった中型ドライバー(大型車を除くドライバー)の賃金を、30年度までに全産業平均と同等以上の数値に引き上げる目標を盛り込む。
 トラック適正化二法にに盛り込まれた適正原価制度、事業許可更新制などを通じ、ドライバーの適切な賃金確保とトラック業界の事業環境向上により実現させる。

拠点整備や新モーダル注力

 また、次期計画ではダブル連結トラックや自動運転トラックといった新技術への対応、地域の活性化に資する物流拠点整備の促進も明記。方針を策定した上で、国にとって基幹となる物流拠点や公共性の高い物流拠点を整備するため、積極的な関与・支援を行う。地方公共団体が参画する枠組みも検討していく。
 持続可能な物流ネットワークの再構築に向けては、陸・海・空の多様な輸送モードを活用する新モーダルシフトを推進。24年度に164億トンキロだった鉄道貨物輸送を30年度に221億トンキロ、371億トンキロだった海運貨物輸送を410億4000万トンキロに拡大する目標を掲げる。
 ダブル連結トラックについては、運送企業の需要を踏まえて通行区間を指定したり、駐車ますを整備することで導入を支援。ドライバーの拘束時間短縮のため、中継輸送拠点の整備も取り組む。