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25/12/01

旧暫定税率関連法案、来年4月廃止で成立 軽油価格引き下げへ

 軽油引取税の旧暫定税率廃止についての関連法案が11月28日の参院本会議で、全会一致で可決・成立した。来年4月に廃止することなどが主な柱。軽油価格を引き下げ、運送企業のコスト負担軽減につなげる。
 軽油引取税は財源の確保、流通への影響、地方財政への配慮などに加え、運輸事業振興助成交付金(交付金)の財源となっていることから課題に適切に対応した上で、地方団体の財政年度が開始する来年4月1日に、ガソリン税は12月31日に廃止する。
 軽油にはリッター17・1円の旧暫定税率が上乗せされている。廃止で小売価格が急に下がり、駆け込みや買い控えが生じないよう、石油元売りに支給する補助金を引き上げて対応している。具体的には2段階で行われ、まず11月13日に現在10円の補助金を15円にした。その後、27日に旧暫定税率の上乗せ分と同じ17・1円に引き上げた。
 資源エネルギー庁によると、25日時点の軽油の全国小売価格はリッター149・2円。旧暫定税率の上乗せ分がなくなると、137円前後となる見通しで、2021年夏ごろの水準まで価格に下がることになる。
 加えて27日に開かれた参院財政金融委員会で、自民、立憲民主、公明など与野党10会派は付帯決議を付けた。旧暫定税率廃止後も、交付金が維持されるよう、法改正を含め必要な措置を講じるよう明記した。代表して立憲民主の森裕子議員が読み上げた後、賛成多数で可決した。

総務・財務に財源を要望へ

 議論を踏まえ、国土交通省の石原大物流・自動車局長は27日の会見で、旧暫定税率廃止後も交付金の維持に向けて「総務省、財務省に来年度の地方財政計画で交付金の財源が盛り込まれるよう、要望したい」と話した。
 各都道府県が旧暫定税率が含まれる軽油引取税を財源に、各地方トラック協会に交付金を支払うとともに、国が地方交付税を通じて都道府県の財政を支援している。地方交付税約5000億円のうち、全国のトラック・バス協会向け計200億円が交付金に該当する。地方交付税を含む地方財政措置で交付金の財源が確保される必要があり、総務省が財務省に財源確保を求める流れになっている。
 旧暫定税率は1974年、道路整備のためにガソリン・軽油に導入された。暫定的措置だったが何度も延長し30年以上継続。2008年に一時、根拠となる法律が失効したが、その後も実質的に継続されている。