- 行政・業界団体
25/11/26
国交省、宅配約款「置き配」明記へ
国土交通省は来年度以降、標準宅配便運送約款を改正する。これまで非対面の受け取り方の定義があいまいだったことを踏まえ、置き配を明記する。企業が導入しやすい環境を整え、効率化を後押しする。
宅配便約款11条には、同居人など荷受人以外に荷物を渡す場合のルールについて、置き配など非対面の受け取り方が明記されていなかった。
置き配を展開する宅配会社は自社の独自約款に置き配について記載した上で、国に届け出て認可を受けていた。改正後は、約款で置き配も宅配受け取りの一つの選択肢として位置付ける。「宅配に携わる運送会社が個別の宅配便約款を検討する手間をなくし、置き配を導入しやすくする」と国交省。
今後、改正案のパブリックコメント(意見公募)を行った上で、一定の周知期間を経て施行することを検討中。一方、置き配などの非対面か、対面かで宅配料金に差を付けるかは、宅配各社が判断すべきものとして、改正約款には記載しない。
物流大綱閣議決定後に対応
国交省は来年度以降、置き配の留意点をガイドライン(指針)でまとめる。置き配時の荷物の盗難、破損などのトラブル防止、保険加入などトラブル発生時の対応、対策や賠償にかかる費用負担などの責任分担の明確化を記載する。指針を通じ荷受人、宅配会社、通販会社間での適切なリスク分担を促す。
次期総合物流施策大綱が今年度末に閣議決定される見通しのため、その後、宅配便約款改正、指針策定になる見込み。
置き配はコロナ禍を機に普及し、昨年行った再配達削減に向けたポイント還元実証事業でも、置き配で再配達率が減少しており、国交省は効果があったとみている。
再配達は宅配ドライバーにとって負担となっている。対策として不在時に荷受人の同意を得て、非対面で荷物をどう渡すか、国の考え方を明示するよう求める声が出ていた。