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25/10/07
国交省、111局188台を使用停止 軽貨物で「初回」処分

東京運輸支局では1日、織田支局長(右)が日本郵便の五味執行役員に行政処分通知を手交した
日本郵便がドライバーに不適切な点呼を行っていた問題で、国土交通省は10月8日、貨物自動車運送事業法に基づき、全国111局に対し、一部軽貨物自動車の使用停止処分を科す。監査が終わり次第、他の郵便局も随時処分し、相当数が対象になるとみられる。6月の貨物自動車運送事業の許可取り消しに続き、過去最大規模の処分になる。
対象は監査で点呼記録の不実記載、点呼の未実施が確認された、北海道から沖縄県の全国111局。計188台の軽貨物自動車の使用停止を命じた。今回処分を科したのは監査を終え、処分手続きを済ませた郵便局で、国交省は「1回目」と位置付けている。
1日、全国の各運輸支局が対象郵便局に行政処分を通知した。各郵便局による車検証とナンバープレートの返納手続きを経て、8日から車両停止処分が適用される。このうち、東京運輸支局では、織田陽一運輸支局長が日本郵便の五味儀裕執行役員に行政処分通知を手交し「一般貨物自動車運送事業に続き、貨物軽自動車運送事業で不適切な点呼が判明したことは、深刻・重大で極めて遺憾」とした。「点呼はドライバーの疲労や酒気帯びなどを確認する安全管理の要」と指摘した上で、経営陣がリーダーシップを発揮して全社を挙げて再発防止に取り組むことを求めた。
監査継続で相当数が対象へ
今回最も重い160日車の処分を受けたのは、日高郵便局(北海道)、湯ケ島郵便局(静岡)、金光郵便局(岡山)、野上郵便局(大分)など11局。処分基準では、点呼の不実記載・改ざんがあった場合は60日車、点呼の未実施は最大100日車を科しており、該当した郵便局は法令で定められたルールを全く守っていなかった。
また、車両停止台数が最も多かったのは、深川郵便局(東京)と尾道郵便局(広島)の7台。このうち、計27台を保有する深川では、6台が15日間ずつ、1台が19日間使用できなくなる。尾道は保有車両(15台)の半分に当たり、6台は16日間ずつ、1台は17日間使用停止となる。
田山郵便局(岩手)、細呂木郵便局(福井)、直島郵便局(香川)、泉郵便局(熊本)など計9局は軽貨物自動車を1台しか保有しておらず、処分期間中、全く車両を使用できなくなる。
国交省は9月3日に1回目の弁明通知を送付以降、毎週100局ほどのペースで、これまで約400局(9月末時点)に通知した。監査は現在も行われており、法令違反を確認した郵便局には同様の手続きを行う。同省は処分の規模や時期は不明としつつ「日本郵便の内部調査でかなりの数の違反行為が見込まれる」とし、最終的に相当数の郵便局が処分対象になる可能性がある。
石原大物流・自動車局長は2日の会見で「起きてしまったことは元に戻せない。点呼の不実記載などの重みを受け止めてほしい」と指摘。「日本郵便も処分を深刻に受け止めている」とし、再発防止を強く求めた。