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25/09/17
改正倉庫寄託約款、来年4月に施行 付帯作業を明確に
国土交通省は来年4月、改正標準倉庫寄託約款と改正標準冷蔵倉庫寄託約款を施行する。4月に施行された荷待ち・荷役削減を目指す物流効率化法を踏まえた付帯作業の料金請求、詐欺防止につながる在庫証明書の発行を盛り込む。
現在の寄託約款は制定から約65年が経過。物効法で求められる内容に適合していないなど、時代や商習慣と異なっており、日本倉庫協会と日本冷蔵倉庫協会が見直しを要望していた。国交省は8月29日から、改正約款に関するパブリックコメント(意見公募)を行っている。
改正案では倉庫の付帯作業を明確化し、物効法に対応できるようにする。倉庫、冷蔵倉庫共に搬出入車両内での手荷役、仕分け、全数検品、開こん検品、ラベル貼りを倉庫の付帯作業とし、倉庫会社は寄託者に別途料金請求できるとした。
加えて、寄託者から荷待ち・荷役時間の大幅な増加につながる緊急の入出庫の発注または取り消しがあった場合には、倉庫会社が別途、寄託者にかかるコストを料金請求できることを明記した。
在庫証明書や保管料も明記
また改正案では、現在使われていない証書や通い帳を廃止し、寄託在庫の商品名、数量を証明する在庫証明書を発行することを明記した。
保管料の計算の仕方も改正案に盛り込んだ。冷蔵倉庫寄託約款には、荷物の容積で保管料を計算する「容積建て保管」を採用することが記述されているが、倉庫寄託約款には保管料の計算方法の記載がなかった。
普通倉庫では、保管面積を国に提出する必要がある医薬品、繁閑が大きい荷主などで保管面積の坪単位で保管料を計算する「面積建て保管」をしている。
改正案では倉庫寄託約款、冷蔵倉庫寄託約款共に業界の実態を踏まえ、寄託物引き渡しで契約成立となる「要物契約」を基本とするものの、倉庫寄託約款では寄託者と特約を結べば寄託者との合意で契約成立となる「諾成契約」として、面積建て保管もできると記載した。2020年の改正民法の内容を反映した。