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25/09/02

国交省物流・自動車局26年度予算概算要求、次期大綱見据え一般会計3倍増

 国土交通省物流・自動車局の2026年度予算概算要求がまとまった。次期総合物流施策大綱の目標年次となる30年度までを「集中改革期間」と位置付け、関連予算を手厚く求めたのがポイント。来年度以降、法改正に伴う制度変更が続くことを見据え、物流効率化や商慣習の見直しを進める。
 一般会計と自動車安全特別会計を合わせた要求額は25年度比1・1倍の762億円。このうち、一般会計は「重要な施策が多い」(国交省)ことから、同3倍の45億円を計上した。効率化や商慣習の見直しなどの「集中改革」、脱炭素化、事故防止・安全対策を施策の柱とする。
 集中改革のうち、効率化には25年度比85%増の44億3200万円を求め、次期総合物流施策大綱の策定を見据えた総合的・抜本的な施策を展開する。物流ネットワークの再構築には5億円を充てる計画で、鉄道・海上輸送の推進、ダブル連結トラックによる共同輸配送といった新モーダルシフトを支援する。
 多様な担い手の確保・育成のための環境整備には4億7200万円を要求。ドライバーの荷積み・荷降ろしの負荷を軽減する機器や、業務効率化・経営力強化につながるシステム導入、中型・大型・けん引免許などの取得費用を補助する。

 

適正化二法で調査費を計上

 また来年度以降、法改正に伴う制度変更が続くため、同4・9倍の3億3400万円を計上し、商慣習の見直しに対応できるよう施策を講じる。例えば、荷主・物流企業に物流効率化などの努力義務を課す規制的措置では、来年4月からの全面施行を見据え、荷待ち・荷役時間の削減、積載効率向上の状況を確認し、必要な規制を執行可能な体制を整える。
 6月に成立した適正化二法については、どのように事業許可更新制を構築するかの検討費用や、適正原価の設定の調査費用に充てる。トラック・物流Gメンの活動費用としても活用する。
 荷主・消費者の行動変容には同14・8倍の2億9500万円を計上し、荷主・物流企業の連携を促す施策を進める。具体的には、来年4月に一定規模以上の企業に義務付けられる物流統括管理者が複数の荷主、物流企業のデータを可視化・共有しコストに応じた運賃・商品価格を設定したり、物量の平準化につなげることができる仕組みづくりを支援する。
 消費者向けにはオートロック式マンションの置き配の普及といった先進的な取り組みに対して補助する。

EV促進向け性能を可視化

 一方、自動車の脱炭素化に向けては、商用車の性能評価・導入促進事業として、9600万円を新規要求。EVトラックやバスの調査を行った上で、導入ガイドライン(指針)を策定したり、何キロメートル走行できるかなどの性能を公表し、運送企業の活用を広げる。バッテリー再利用事業の実証にも予算を充てる。
 事故防止では、安全総合対策事業に同14%増の19億1300万円を計上し、事業用自動車の先進安全自動車(ASV)やデジタルタコグラフ、ドライブレコーダーを普及させる。監査体制の強化には同2・2倍の9500万円、運行管理の高度化の推進などには同9%増の3億8600万円を要求した。