ヤマト運輸、北海道奥尻島で客貨混載型ライドシェアを実証開始

　ヤマト運輸（本社・東京、阿波誠一社長）は８月29日、北海道奥尻町の奥尻島で、セールスドライバーによる客貨混載型の公共ライドシェアの実証運行を開始した。地域にある車両・人材・物流の力を掛け合わせることで、離島の交通空白の解消を目指す。
　実証期間は、今年12月末までの約４カ月間。ヤマト運輸のドライバーが、日中の業務時間帯の空き時間を活用して、集配用ワゴン車両を客貨混載で運行する。運行時間は午前８時～午後７時。奥尻町民と観光客などを対象に、時間帯・エリア・利用目的の実態を可視化して移動ニーズを把握する。配車・予約受付・ドライバー体制・運行管理と安全体制を確認して運行スキームを検証する。実証期間中は無償で運行するが、実証での利用実績を踏まえて費用構造・運賃設計を検討する。
　また、９月中に町が管理・リースする車両での運行実証も開始する。町民が副業や地域貢献としてドライバー業務を担う住民参加型モデルに向けて、町民ドライバーの参加形態・育成手法・資格要件を確認する。
　同実証は、国土交通省の「『交通空白』解消緊急対策事業」の採択を受けた「奥尻島民で助け合い『島のりあい』実証プロジェクト」の一環で実施する。
　奥尻島は北海道南西部の日本海に浮かぶ離島で、人口は約2100人。高齢化率は約41％に上り、日常の買い物や通院、観光客の周遊での移動手段の確保が喫緊の課題となっている。現在、島内のタクシーは１社のみで、バスは１日９便と限られ、時間的交通空白が顕在化している。