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25/07/08

国交省、次期安全プラン検討開始 進ちょく管理で新指標も

 国土交通省は6月25日、次期事業用自動車総合安全プランの検討を開始した。今年度で期限切れとなる現在の安全プランで複数の目標達成が困難な見通しの中、重点的に取り組む対策以外に、職場環境の改善、悪質荷主の是正など安全に関わる対策を盛り込む方向で検討する。施策の進ちょくを確認するため、「フォローアップ指標」の新設も視野に入れる。
 同日、大学教授やトラック、バス、ハイヤー・タクシーの業界団体関係者などでつくる「自動車運送事業安全対策検討会」の初会合を開催した。年内をめどに具体案をまとめた上で、別組織の「事業用自動車総合的安全対策検討委員会」に上げ、来年3月までに次期安全プランを決定する。
 国交省の推計によると、2021年に始動した現在の安全プランは、複数の項目で目標達成が困難な見通しだ。トラックは軽貨物の事故増加などの影響で、事故死者数、人身事故件数の目標をクリアできない見通し。飲酒運転、トラックの個別目標とした追突事故件数も厳しい状況にある。
 国交省は今の安全プランの評価について、重点施策は着実に推進しているが、悪質な法令違反の根絶には関係者の意識を変革するなど、さらなる事故削減に向けた新たな取り組みを実施していく必要があると分析。貨物軽自動車運送の安全対策を含め、プラン策定時に検討していなかった対策も推進するとした。

重点施策以外の対策も推進

 次期安全プランでは従来と同じく、自動車運送に携わる全関係者の行動変容の促進、悪質な法令違反の根絶など、重点的に取り組む六つの柱を立て、対策を講じる方針。安全に直接関わらなくても事故削減に必要な対策があることから、別枠で施策を盛り込むことも検討する。トラックでは、多重下請け構造や悪質荷主の是正、適正運賃収受などを候補に挙げた。
 また、各施策の進ちょくを確認するため、フォローアップ指標を設定することも検討する。具体的には、主要疾病のスクリーニング検査実施率、業務開始前の体温・血圧測定の実施率といった内容を定量的に確認する考え。
 例えば、健康起因事故になりやすい視野障害では、国交省のマニュアルの認知度は各業界で高まっている半面、企業のスクリーニング検査の実施率は低い状況が続いている。同省は知るだけでなく、実施することが重要としており、指標に基づくフォローアップを展開し、対策を推進する。