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25/06/24
多重下請け検討会、中抜き規制、検討を提言 「運送責任なし」を問題視
トラックの多重下請けを議論する国土交通省の有識者検討会は6月17日、運送業務の受発注間で発生する運賃の中抜きについて「規制を検討すべき」と提言した。業界では、多重下請け構造下で運賃が目減りした結果、実運送が適正コスト収受できないことが課題で、国交省は今後施行する法律の効果を見極めた上で、必要な対策を検討する。
提言では中抜きの実施主体に関し、貨物自動車運送事業者、貨物利用運送事業者にかかわらず、荷主と実運送の間に介在する全ての者で、手数料の中抜きが繰り返されていることが問題と指摘。
今国会で成立した改正貨物自動車運送事業法では、実運送体制管理簿を作成する元請けに貨物利用運送事業者を追加する対策を講じることから、まずは効果を検証した上で、運送契約に基づかず仲介・介在する企業を含め必要な措置を検討するべきとした。
また、物流子会社のような荷主から分社化して設立した企業は自社の輸送網で、運送請け負い責任を完遂することが期待されていると言及。
それにもかかわらず、第一種貨物利用運送事業者(自動車)の中には単に案件を委託し、内容や付加価値に関係なく一定の割合で手数料を収受していることは本来期待されるものではないと指摘した。
貨物運送事業者にも、自ら運送を前提とせずに受託し、他社に委託して手数料を収受する企業が多数存在していることを指摘。
一方、物流の付加価値は企業により異なることから、手数料に一律の規制を行うことはそぐわないと結論付けた。
利用運送事業の免許を持ちながら、運送契約を結ばずに仲介・取り次ぎだけを行う企業については、手数料収受が繰り返されることで、実運送の適正運賃収受が妨げられる可能性を指摘し、実態を踏まえて規制の在り方を検討するべきとした。