- 物流企業
25/06/10
ヤマト運輸、北海道東部・都市間バスで「宅急便」を客貨混載

業種を超えて各社の経営資源を活用する
ヤマト運輸(本社・東京、阿波誠一社長)は6月2日、北海道の道東地域で、都市間バスを活用して「宅急便」を輸送する客貨混載の本格運行を開始した。過疎地域の交通・物流インフラの維持が課題となる中、自治体やバスの運行会社と業種を超えて連携する。持続可能な地域社会への貢献を目指す。
根室交通とくしろバスが根室―釧路間(釧路線)で共同運行する都市間バス「ねむろ号」の平日便が対象。釧路市のヤマト運輸釧路西営業所に到着した厚岸町行きの荷物を、ヤマト運輸のドライバーが同市内の釧路バス本社まで輸送する。ねむろ号のトランクルームに積み込まれた荷物を、根室交通のドライバーが厚岸町まで輸送し、同町のヤマト運輸厚岸営業所と浜中町のねむろ号停留所「茶内」で、ヤマト運輸のドライバーに引き渡す。
バスの運行ルートに近いヤマト運輸営業所にバスが立ち寄るため、ドライバーとの時間調整が不要で、バスの運行ダイヤへの影響も抑制する。また、バスの大容量トランクルームを貸し切り利用するため、常温・冷蔵・冷凍・「お買い物便」などの複数種類のコンテナを効率的に積載できる。
ヤマト運輸は安定的な輸送力の確保や一部荷物の配送リードタイムの短縮、温室効果ガス排出量の削減、自治体は地域住民の生活にとって重要な交通インフラの維持、根室交通とくしろバスは都市間バスの維持存続に向けた安定的で新たな収入源の確保をそれぞれ見込んでいる。
北海道の中でも最も広大な道東地域では、人口減少で鉄道やバスの減便や廃線が進む。釧路線も路線の存続が困難となっていたが、北海道庁や根室市などからの支援と運行本数の減便で運行を継続している。ヤマト運輸は自治体や根室交通、くしろバスと連携し、今年4月から同取り組みの実証運行を行い、実用性や安全性を確認した。