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25/06/10

日本郵便、運送事業許可取り消し 車両2500台が対象

 全国の郵便局でドライバーへの点呼が不適切に行われていた問題を受け、国土交通省は日本郵便に対し、貨物自動車運送事業の許可を取り消す方針を固めた。6月18日に聴聞を行った上で、後日、正式に処分を決定する。同社は約2500台の車両を保有しており、仮に決まった場合、過去最大規模の処分となる。
 事業許可取り消しは、貨物自動車運送事業法(トラック法)で最も重い処分。国交省は日本郵便からの報告を受け、4月25日以降、不備のあった郵便局119局に特別監査を実施。点呼の未実施、点呼記録の不実記載を中心に事実確認をした結果、82局で問題を確認した。このうち、関東運輸局管内の違反が許可取り消し基準の81点を超えた。
 2018年のトラック法改正で、欠格期間が延長されており、許可を取り消された場合、その後5年間は許可を再取得できない。

許可取り消しは、日本郵便保有の緑ナンバー車両が対象。軽貨物は運輸局ごとに処分する可能性がある(写真は都内郵便局)

台数ベースで過去最大規模

 緑ナンバーの車両約2500台が許可取り消しの対象になる。過去には、19年の関東西部運輸で保有台数数百台規模の運送企業が許可を取り消された例はあるが、大手運送企業への処分は極めて異例。「点呼は(運送事業を行う上で)基本中の基本。組織的に点呼が行われておらず、基準にのっとり粛々と判断した」(国交省)。
 軽貨物自動車については、地方運輸局が各郵便局を監査しており、今後の結果を踏まえ、局ごとに処分するか否かを判断する。郵便配達で使用する原動機付き自転車(原付きバイク)は、トラック法に基づき対象外。
 トラック法では運送企業に対し、業務前と業務後の点呼を義務付けている。一方、日本郵便は1月、兵庫県内の郵便局で法定点呼が行われていなかったことが発覚。同社が4月に報告した社内調査結果によると、不適切な点呼は全国3188局のうち、約75%に当たる2391局で行われていた。点呼執行数では、全国57万8000件のうち、不適切は26・1%を占めた。
 また、その後の調査では複数の酒気帯び運転も報告された。
 国交省は18日、日本郵便から意見や反論を聞く聴聞を関東運輸局で行った上で、6月中、もしくは7月の早い段階で正式に処分を決定する。