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25/06/10

倉庫寄託約款、8月末めどに改正・施行 引き受け制限など見直し

 国土交通省は8月末にも、標準倉庫寄託約款と標準冷蔵倉庫寄託約款を改正し、即日施行する。倉庫の自動化を踏まえた寄託引き受け制限や、詐欺防止につながる在庫証明書の発行、損害賠償額の上限記載を盛り込む。
 現在の寄託約款は制定から65年経過し、当時想定していなかった自動化への対応など、時代や商習慣と合っていなかった。日本倉庫協会と日本冷蔵倉庫協会が見直しを要望していた。6月中にパブリックコメント(意見公募)を行う。
 倉庫での貨物預かりを拒否できる寄託引き受け制限の理由には、設備の故障やシステム障害を盛り込む。近年、倉庫各社で自動倉庫の活用が広がる中、設備そのものや、自動倉庫と連動するWMSといったシステムが故障し、入出庫できない場合にも備える。
 また改正案では、現在使われていない証書や通い帳を廃止し、受託者が預かる在庫の商品名、数量を証明する在庫証明書を発行することを明記。保管料、入出庫料といった倉庫料金の総額を損害賠償額の上限とすることも盛り込む。
 損害賠償の上限は、日冷倉協が求めていた「日付逆転品の納品」の対応を踏まえたもの。食品業界では、卸や小売りに納品した商品の賞味期限より、1日でも古い賞味期限の商品を納品することは認められない商慣習がある。「日付逆転時の損害賠償に備え、加筆を要望した。運送約款では、延着時の損害賠償上限額を運賃と料金の総額としており、それに倣った」(日冷倉協)。

保管温度記載や料金計算も

 改正案では他にも、寄託者が保管を求める際、倉庫へ送付する寄託申込書に、保管温度帯を記載することを加える。日冷倉協が求めてきた内容で、「会員企業が扱う多くの冷凍食品の保管温度はマイナス18度。だが、例えばマイナス20度で保管するアイスクリームのように、一般的な冷凍食品と異なる保管温度の商品もある。冷蔵倉庫側のみに保管温度判断をさせるのは厳しいため、改正を求めてきた」(同)。
 日倉協が要望していた保管料の計算の仕方も改正案に盛り込む。冷蔵倉庫寄託約款には、荷物の容積で保管料を計算する「容積建て保管」を採用することが記述されているが、倉庫寄託約款には保管料の計算方法の記載がなかった。
 「普通倉庫では、保管面積の坪単位で保管料を計算する坪建て保管をしており、その表記を改正案に盛り込むよう要望していた」(日倉協)。