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25/03/31

25年度の雇用動向、「運輸・倉庫」が採用意向トップ

 帝国データバンクの雇用動向調査によると、2025年度に人材採用を予定している企業は、業界別では「運輸・倉庫」が正社員66・2%=グラフ1。非正社員53・0%=グラフ2=でそれぞれトップだった。昨年4月にスタートしたドライバーの残業時間上限規制に直面し、9つの業界区分の中で最も採用意向が高くなった。

 

 非正社員の採用では、「最低賃金の上昇で、業務内容と非正社員の賃金とのつり合いが取れなくなってきた。非正社員の雇用継続について極めて厳しい判断を迫られる可能性も」(運輸・倉庫、中小企業)と消極的な企業もみられた。一方で、「雇用の多様性をもって人材確保に努める。高齢者雇用について力量評価をしたうえでのパート採用を積極的に行う」(一般貨物自動車運送、中小企業)との声も上がった。
 全産業では、正社員の採用予定がある企業は前年度比2・7ポイント減の58・8%で、コロナ禍の21年度以来4年ぶりに6割を下回った。非正社員は同4・2ポイント減の41・7%だった。
 正社員の採用形態別を見ると、新卒新入社員が37・1%、中途社員は51・0%だった。特に中小企業では新卒新入社員の教育にかける余裕が無く、中途社員採用の割合が大幅に高くなっている。ただ、大企業の初任給引き上げなどで人材の囲い込みも強まっている。
 帝国データは「物価高騰の中で価格転嫁が進まず、上昇する人件費の原資確保が容易ではない。人手不足がさらに長期化すれば、中小企業の事業継続の可否についてより難しい判断を迫られることになりかねない」とみる。
同調査は25年2月14日~28日、全国2万6815社を対象に、インターネットで実施。25年4月~26年3月入社の人材の採用状況について、1万835社の回答をまとめた。