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25/03/18

安全プラン、目標達成の見通し厳しく 事故件数など減少鈍化

 事業用自動車総合安全プランの目標達成が難しくなっている。国土交通省が2023年までの実績を基に予測値を試算したところ、このまま進んだ場合、25年の交通事故件数、事故死者数共に目標値を上回る見通しだ。トラックは、「軽貨物以外」「軽貨物」共に事故数が高止まりしており、同省は4月からの安全規制の強化などを通じ、減少につなげる。
 国交省が直近5年間(コロナ禍の影響を受けた20~22年を除く)の実績を基に25年の交通事故件数の予測値を試算したところ、トラック・バス・タクシーを合わせた全体の件数は2万1467件。安全プランで1万6500件以下とする目標と開きがあった。
 交通事故死者数も225人以下とする目標に対し、試算では240人になると予測。重症者数の予測値は1959人で、このままのペースで進めば、2120人以下の目標を達成する見込みだ。
 各モードのうち、トラックの目標達成も厳しさが増している。軽貨物以外と軽貨物を合わせた25年の事故件数の予測値は1万3457件で、現状では目標の9100人以下を上回る見通し。死者数は210人(目標は190人以下)、重症者数は1300人(同1280人以下)となり、いずれも難しい状況にある=グラフ1

追突では業種別で結果に差

 また、運輸全体でゼロとした飲酒運転は、23年時点で軽貨物以外・軽貨物共にトラックの事故が減少せず、25年は44件になると予測。国交省が、23年に飲酒運転事故を起こした企業の報告書を分析したところ、全体の17%に当たる7件が点呼の未実施だった。ドライバーが飲酒したタイミングは、休憩中が7件、運転中が6件と、営業所を出発後に違反するケースが多かった。
 一方、トラックで最も多い「追突事故」の25年の予測値は5248件=グラフ2。現状のまま推移した場合、安全プランで目標とする3350件以下には届かないが、国交省は軽貨物以外と軽貨物で取り組みの効果に差があるとみている。
 この5年間の推移を比べると、軽貨物以外は19年に5639件だった事故件数が23年に4255件に減少。軽貨物は19年の1236件から、23年は1535件に増え、傾向に違いがあった。
 原因として、国交省は軽貨物を手掛ける企業・個人事業主による安全対策不足や、悪質な荷主の無理な指示がある可能性を指摘。このうち、安全対策に関しては、4月に安全規制が強化されることを踏まえ、昨年秋から内容を周知していることを挙げ、「軽貨物での事故の多さ、どんな対策を講じればいいかを知ってもらうことで、事故削減につながることを期待している」とした。
 安全対策全体ではこの他、これまで作成した各マニュアルを簡素化したり、解説用動画を作成したりする方針。安全に必要な知識をより分かりやすく伝え、ドライバーの行動変容につなげる対策を検討している。