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25/03/11
業務前自動点呼、遅くとも夏ごろ解禁 厳格要件で確実性担保
国土交通省は遅くとも今年の夏ごろまでに、人の代わりにロボットなどが点呼を行う「自動点呼」を前面解禁する。現在は業務後に限り認めているが、業務前でも利用できるよう制度化する。使用する機器・システムや、運用上の順守事項を業務後よりも厳しく設定し、確実な点呼を担保する。
3月3日、国交省が開催した運行管理高度化ワーキンググループ(作業部会)で委員の了承を得た。今後、点呼告示を改正した上で制度化する。
従来の対面点呼と同等の確実性が担保されることを、業務前自動点呼の基本的な考え方とする。点呼の実施が困難な場合は、運行管理者が機器の要求などに適切に対応することを求める。
実施要件は業務後より厳しく、例えば、使用する機器・システムには、ドライバーの体温・血圧を測定後、運行管理者が設定する各ドライバーの平常時の体温・血圧との差異を自動で記録・保存する機能や、体温・血圧測定の有効時間を設定し、一定時間経過後のものは無効として再測定させる機能を求める。体温・血圧に異常値がある場合や、疾病・疲労・睡眠不足などで安全運転ができない恐れがあるか否かを、運行管理者がドライバーごとに設定した基準を基に、自動で判別する機能も必要とする。
長期間実施は直接会話必要
なりすましの防止対策では、酒気帯び、体温・血圧を測定時、点呼を受けるドライバーの顔認証や静脈認証、虹彩認証などで個人を確実に識別できる機能を要件に設定。機器やシステムが安全に運転できない恐れがあると判定した場合、運行管理者に通知・警告し、点呼を中断させる機能があることも求める。
施設・環境要件では不正防止のため、運行管理者が撮影機器を使用しながら、点呼を実施中と終了後のドライバーの全身を明瞭に確認できることを要件に設定。営業所と車庫以外で業務前自動点呼を行う場合、車内や待合所、宿泊地にも撮影設備を設ける必要がある。
運用上の順守事項については、業務後自動点呼と同じく事前に申請書を国に提出することなどに加え、1カ月以上自動点呼のみを行い、運行管理者と対面しないドライバーには、1カ月に1回直接会話し、健康状態の把握や運転指導に努めることを明記。運送企業には業務前自動点呼を始める前、ドライバーごとの体温・血圧の平常値を10日分程度取得することも求めていく。