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24/12/25

厚労省・研究会、労基法の改正に向けた報告書案を提出、健康確保と働き方の柔軟性が柱

 労働基準法の改正に向けた柱は、労働者の健康確保と多様な働き方を支える柔軟さ――12月24日、厚生労働省の研究会が報告書案をまとめた。自動車運転者関係では、2024年4月にスタートした年960時間などの残業上限規制は、一般に比べて長い上限規制であり、中長期的にはどう一般並みにするか「議論していく必要がある」とされた。加えて、働く人を「守る」という観点から、企業の自主的な取り組みとしての労働時間開示などを求めて、自主的に労働時間削減につとめるよう促すことなどが必要になるとされた。

 労働時間の情報開示は、労働市場の調整機能を通じて企業に自主的に労働時間短縮を促すことが目的。報告書案は「特に休日の取りやすさや、残業時間の実態について、正確な情報が開示するのが望ましい」とした。またさまざまな情報開示を促す仕組みづくりと共に、「労働者が一覧できること」を求めている。

 また、「労働からの解放」に目を向けた規制の強化も求めている。現状労使協定を結べばいくらでも連続勤務が可能な状況を、「13日間を越える連続勤務をさせてはならない」と明記するよう求める。終業から始業までの時間を一定時間空けることを求める「勤務時間インターバル」については、「導入促進と将来の義務化を視野に入れつつ」法制化の検討を進める。具体的には11時間を軸に柔軟性を確保するか、11時間より少ない時間を設定し柔軟性を限定するかがポイントとなる。

 報告書案では、テレワークなどの柔軟な働き方や、裁量労働制などの労働者が働き方を決める制度が普及していることを踏まえて、労働者の健康確保を労基法の重要課題と位置付けた。また個人事業主の増加で、一部の個人事業主で労働法制上の保護が必要な場合もあることを踏まえ、「保護するものを確実に、保護する」ことが必要とした。