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24/12/24
運送業、9割が価格転嫁要請しうち97%で値上げ
道路貨物運送業で2023年6月~24年5月の1年間に、9割弱の受注企業が発注企業に対し価格転嫁を要請し、そのうち約97%で商品・サービスの全部または一部で取引価格が引き上げられたことが、公正取引委員会の調査で分かった。
公取委は今年6月、労務費をはじめとした価格転嫁の状況把握を目的に43業種11万社に調査票を送付。3万1181社が回答し、道路貨物運送業は1271社、倉庫業は289社回答した。受注企業が発注者に何らかの価格転嫁を要請した割合は、道路貨物運送業で89・2%、倉庫業で78・9%だった。
そのうち、道路貨物運送業では2・8%を除くケースで取引価格が引き上げられた。「全て」で引き上げられた割合は37・9%、「7~9割」で30・6%。倉庫業では2・4%を除くケースで取引価格が引き上げられ、「全て」47・9%、「7~9割」28・7%だった。全体では「全ての商品・サービス」は54・2%、「7~9割」は26・5%で、道路貨物運送業は「全て」の回答割合が全体より16・3ポイント低かった。
労務費、エネ費の転嫁進む
労務費、原材料価格、エネルギーコストについて受注企業の要請額に対し引き上げられた金額の割合は、43業種全体で労務費が前回23年度調査比17・3ポイント増の62・4%、原材料価格が同1・6ポイント増の69・5%、エネルギーコストが同13・8%増の65・9%。労務費とエネルギーコストの転嫁が進んだ。
一方、労務費の転嫁率をサプライチェーンで見た時、メーカーなどからエンドユーザーへの転嫁率は66・5%(23年度調査比18・8ポイント増)だったが、メーカーなどから下請けへ1次、2次、3次と階層が下がるにつれ転嫁率は低下。3次受注の企業では改善は進んだものの、49・2%(同13・8ポイント増)にとどまった。
また、公取委は価格転嫁が円滑に進んでいない業種のサプライチェーンとして道路貨物運送業が関係するケースを例示。発注者である道路貨物運送業、運輸に付帯するサービス業、倉庫業、食料品製造業などに対する受注企業からの価格転嫁が進まない結果、同受注企業の下請けとなる同業や倉庫業からの価格転嫁を受け入れられない状況がうかがわれるとした。