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24/12/16

公取委、物流特殊指定で初処分 橋本総業の改善計画認定

 委託先の運送企業に残業代などを支払わなかったとして、独占禁止法違反の疑いで調査されていた住宅設備卸大手の橋本総業について、公正取引委員会は12月12日、同社提出の改善計画を認定した。立場の強い荷主の優越的地位の乱用を規制する「物流特殊指定」に基づく行政処分は初。同社が問題行為を行った運送企業約25社には被害相当額を支払う。
 公取委によると、橋本総業は2017年7月以降、業務委託した運送企業の残業代や、積み降ろし・返品といった付帯作業料を支払っていなかった。また、「お支払割戻金」と称して一方的に代金の減額を行っていた。
 買いたたきや不当な経済上の利益の提供要請、代金の減額といった一連の行為は、独禁法で禁じる物流特殊指定の疑いがあるとし、公取委が調査を実施。違反の疑いがある行為を公取委と企業の間で合意し、早期改善を目指す「確約手続き」に基づく処分を講じた。
 確約手続きは18年に導入された制度で、一般手続きと異なり、排除措置命令や課徴金納付命令は免除される。
 今後、橋本総業は提出した改善計画書に沿って適正取引を進める。具体的には問題のある取引を取りやめるとともに、コンプライアンス(法令順守)体制を整備。業務委託していた運送企業約25社には金銭的価値の回復として、総額約3800万円を返金する。第三者が改善計画の履行を監視し公取委に報告する。
 物流特殊指定を巡り、公取委は11月28日、オフィス家具大手のイトーキを違反の疑いで警告した。荷主・元請け企業と実運送の取引適正化が課題となる中、取引を厳しく監視している。