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24/12/02

トラックの利用運送、来年 本格的な議論着手 調査結果等まえ論点整理

 多重下請けの是正に向け、国土交通省は来年1月から具体的な検討に入る。今秋に第一種貨物利用運送(自動車)の実態を調べたところ、元請けが自ら責任を持って手配できる範囲を超えて運送を引き受けたり、手数料の相場の妥当性などで課題があることが分かった。同省は広く課題があるとの認識で、制度の見直しを含め検討する。
 11月28日に開かれた多重下請け構造検討会で、実態調査の結果と今後の方針を示した。結果を基に課題を整理した上で、来年1月末にも開催予定の次回会合で今後の論点を示す。
 国交省が9~10月、第一種貨物利用運送企業に行った調査によると、回答のあった1094社のうち、トラック、倉庫業などとの兼業が69・3%、専業が21・3%。資本金1000万円以下の企業は42・2%だった。下請け次数は、荷主と元請けの間に位置する企業が75・6%を占めた。具体的な手数料は「5~10%」が61・0%で最も多く、「0・1~5%」を合わせると全体の80・0%。手数料の収受方法では「運賃から差し引く」(52・7%)が最多で、83・0%が「商慣行」を理由に挙げた。
 利用運送企業に提供する付加価値の独自税を尋ねたところ、荷主と元請け運送企業、元請けと1次下請け運送企業を仲介する場合、ワンストップサービスや運送の効率化、物流の専門性を挙げる回答が一定数あった。これに対し、2次下請け以下の場合は「仕事の紹介・提供」など、独自性の低い項目を挙げる答えが多かった=グラフ

商慣行の見直しも盛り込み

 結果を踏まえ、国交省は28日の検討会で、今後の方向性を提示。例えば、下請け構造の下位に介在する企業は付加価値の独自性が低い半面、上位の企業と同程度の手数料を収受していることから、金額が見合わないのではないかと指摘した。また、多重下請け構造の要因には、元請けが自らの責任で手配できる範囲を超えて運送を引き受けたり、法令順守意識の低い運送企業が安価で条件の悪い仕事を受注しているといった実態があることから、商慣行見直しの必要性を盛り込んだ。5~10%の手数料の妥当性や、相場通りに手数料を引く商慣行をどう考えるかも記載した。
 検討会の委員からはより細かな調査に加え、利用運送企業の登録・責任の在り方をはじめ、制度自体の見直しの必要性に言及する意見もあり、国交省は課題をまとめ、次回以降の検討会でさらなる議論を行っていく。