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24/10/17

【MEDIA TIMES×輸送経済コラボ企画③】 橋口 泰幸 山岡産輸社長インタビュー

「大家族主義で成長へ~成長の柱は〝人財〟~」

はしぐち・やすゆき 1960年10月生まれ、64歳。鹿児島県県出身。78年大島工業高校卒。大手物流企業などを経て、2012年山岡産輸入社、運行管理課長。17年常務。19年社長。

 1984年の創業から40年の節目を迎えた山岡産輸(本社・千葉県市川市)。加藤健一会長からかじ取りを任されている橋口泰幸社長は、「会社の未来を担う若手を育てつつ、利益を出す体制構築を進めたい」とする。社員が情報を上げやすい「ボトムアップ型」の組織の育成を進めるとともに、経営理念ともする「大家族主義」で、従業員の強みを引き出す教育を進める。

 

4月1日から稼働した新本社(千葉県市川市)

 

 ――5年前、加藤会長から経営のバトンを託された

 橋口 コロナ禍のバトンタッチだった。大阪営業所を開設し、売上高を大きく伸ばすなど、積極展開を行っていたが、コロナ禍の経済停滞には苦労した。

 ――大阪営業所は昨年3月閉鎖に。

 橋口 長距離主体の業務だったため、燃料費高騰などの影響を大きく受けた。売上は上がっても利益が伸びず苦渋の決断だった。

 ――改めて神奈川県厚木市に厚木営業所を開設し、巻き返しを図る。

 橋口 地元出身の授業員を所長として配属し、人員を確保した。15台ほどのトラックが運行している。紹介制度をつくり、社員に人員を集めてもらっている。長く働き続けてくれることが多いし、実際にドライバー増・トラック増の好循環を生み出せている。

 ――主力業務は。

 橋口 もともとは鉄鋼を運んでいたが、いまは大手宅配などの幹線を引き受けている。東に拠点はないが山形県まで、西は愛知県小牧市に拠点を置いている。間に、東京、川崎市、神奈川県厚木市と本社を合わせて、5拠点を基盤としている。

 ――強みは何か。

 橋口 ドライバーをはじめとする従業員だ。ただモノを運んで終わりではなく、営業に関する情報をしっかりと収集し本社に上げてくれる。責任感を持って仕事に取り組んでくれるドライバーが多いことが、強みだ。

 

将来担う人材の育成が責務

 

 ――伸ばし、育てる。

 橋口 企業は、組織だ。組織を回せる2番手・右腕になりうる存在が重要になってくる。ある程度仕事を任せて、軌道修正を私が行っていくことでうまく回っていく。若い社員が、会社を変えられるように育つ土壌をつくることが社長の仕事と考えている。それが将来的な事業承継にもつながる。

 ――業界を取り巻く環境は厳しい。

 橋口 今年スタートしたドライバーの残業時間上限規制を守れる会社は、体感ではそんなに多くない。燃料費も高止まりしている。物流を基盤としつつ、多角化についても考えていきたい。

 ――経営理念は「大家族主義」「1個入魂」だ。

 橋口 従業員の向こうには家族がいる。家族が、「無事帰ってきてね」と従業員の後押しする会社は強いと思っている。その上で、主要貨物の雑貨1個1個に対し、荷物事故・車両事故を起こさないという会社が実現し、魂を込めた最高のサービスを提供する。

 

「1個入魂」を旗印に最高のサービスを提供する

 ――社員に伝えることも重要だ。

 橋口 全員が理解するのは難しい。ただ社員から逆に理念について問いかけがあった際には、話す機会があれば伝えている。社員の意識を変え、独自性・創造性を伸ばすように育てていきたい。

 ――夢は大きい。

 橋口 もっと輸送網を広げていきたい。西は九州の方、東ももう少し伸ばしていきたい。そのためにも〝人財〟だ。