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24/08/09

再配達削減事業、10月からポイント還元 国費投入継続は考えず

 国土交通省は10月から、宅配便の再配達削減に協力する消費者にポイントを還元する実証事業を始める。大手インターネット通販企業や宅配企業が参加する。数カ月間続ける計画で、その後は国費を投じず、民間で取り組みを推進してもらう。
 再配達削減の実証事業は、政府が昨年まとめた物流政策パッケージに盛り込んだ施策。ドライバーの残業上限規制適用に伴う輸送力不足が懸念される中、需要の高まる宅配の再配達は大きな課題で、消費者の行動変容を促す対策を講じることにより、現在約12%ある再配達率を、24年度末までに約6%まで削減する目標を掲げている。
 実証事業では、消費者が物流負荷の少ない受け取り方法を選択し、実際に行うとポイントを還元する。参加するネット通販のうち、例えば、アマゾンは非対面を含め1回で受け取った場合にポイントを還元する。楽天は日付指定をした上で1回で受け取った場合に、LINEヤフーは余裕のある配送日時を指定した場合にポイントを渡す。
 国交省は23年度補正予算で計上した約44億5000万円を活用し、1配送当たり最大5円を支援する。ポイント還元だけでなく、実証事業に必要なシステム改修などにも補助金を出す。

原資は消費者に価格転嫁で

 一方、実証事業終了後は新たな国費を投じず、取り組みを継続させる考え。国交省の鶴田浩久物流・自動車局長は7月29日の会見で、「物流は自律的に回っており、公費を投入し続けるのは違うのではないか」と指摘。その上で「ポイント還元の狙いはサービスに差を付けること。(事業終了後も)永久にやってもらうため、(企業に)広く薄く価格転嫁してもらうことになる」とした。
 具体的には、急いで配送する付加価値の高いサービスと、配送にゆとりのある付加価値の低いサービスで差を付けることが必要とし、「輸送に必要なコストは消費者に転嫁し、その中で価格差を付けてもらう」とした。