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24/08/09

軽貨物の規制的措置、来年度初めに施行 安全管理者など義務付け

 貨物軽自動車運送の安全対策を強化するため、国土交通省は来年度の初めにも規制的措置を適用する。安全管理者の選任と講習の受講、業務記録の作成・保存などを義務付ける。既存の個人事業主や企業には一部内容で猶予期間を設け、周知徹底と負担軽減を図る。
 新たな規制は、一般貨物運送とほぼ同じ内容に見直し、安全対策を強化するのがポイント。現在、軽貨物で運行管理者を選ぶ決まりはないが、来年度以降は個人事業主を含めた全ての企業に対し、営業所ごとに安全管理者の選任を義務付け、定期的な講習を通じて必要な知識を習得させる。運行管理者を選任している場合は兼職も認める。選任後、企業名などとともに、安全管理者の氏名と生年月日、兼職の有無を国に届け出させる。
 国交省は遅くとも今年11月までに、安全管理者の講習機関の登録申請を開始する。講習は選任時と2年ごとの受講を義務付け、違反した場合は行政処分もある。対面に加え、オンラインで24時間365日受講できるような仕組みも検討していく。施行前から事業を行う既存の個人事業主・企業は施行後、2年間の猶予期間を設ける。

選任の確認で実効性を高め

 実効性を高めるため、国交省は施行後、事業開始時に届け出たリストと見比べながら、安全管理者が選任されているかを確認する考え。受講後、電子証明書を発行し、配送マッチングアプリなどにアップロードさせることで、未専任・未講習の事業主、企業が仕事を受託できないような仕組みの構築も検討する。
 新たな規制では他にも、業務の開始・終了、休憩の日時などを記載する乗務記録を作成させ、1年間の保存を義務付ける。3年間の事故記録保存や、大事故を起こした場合に国交相に報告させることも義務化する。
 新規雇用のドライバーや65歳以上の高齢者、死傷事故を起こしたドライバーには、指導・監督とともに、適性診断の受診も義務化。既存の事業主・企業には負担を考慮し、3年間の猶予期間を設ける。適性診断の受診記録などを記載する運転者台帳の作成と、営業所での備え置きも求める。
 規制的措置の適用に合わせ、国交省は今後、リーフレットやポスター、動画作成により周知活動を展開する方針。説明会の開催、問い合わせ窓口の設置なども行う。安全規制を検討してきた国の適正化協議会に参加するインターネット通販、宅配企業にも協力を求めていく。