• 行政・業界団体

24/07/09

規制的措置、国交省が初会合でたたき台 特定事業者指定など焦点

 物流物流総合効率化法改正により、今後適用される規制的措置の検討が本格的に始まった。荷主・物流企業の効率化に向けた取り組みで、努力義務を課す内容などが焦点となる。一定規模以上の荷主・物流企業を「特定事業者」として指定する基準や、中長期計画の期間などもポイントで、年内に複数回の議論を重ねる。
 検討は、国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省合同会議で実施。6月28日に始まり、今後2回の会議を経て、11~12月ごろに政省令案を提示する。パブリックコメント(意見公募)を行った後、来年初めをめどに政省令を公布し、公布後1~2年以内に順次施行していく。

積載率向上は共通で検討へ

 改正法では荷主・物流企業に対し、荷待ち・荷役削減のために取り組むべき措置の努力義務を課した上で、各所管大臣の判断基準を基に、必要な指導・助言などを行うことを定めている。このうち、判断基準に関し、発・着荷主、運送企業共通の事項として、積載率向上を盛り込むことを検討する。荷主と倉庫企業には荷待ち時間短縮と荷役時間短縮を求めることを想定している。
 例えば、積載率向上では発・着荷主に適切なリードタイムの確保、繁閑差の平準化を通じた納入量適正化を、運送企業に輸送網の集約、過疎地での共同配送を努力義務として課すことを検討していく。荷主と倉庫に求める荷待ち短縮では納品日時の分散を、荷主と倉庫に求める荷役時間短縮では、パレット活用、物量に応じたバース確保を盛り込む事項として挙げた。

中長期計画5年に一度提出

 一方、合同会議では、流通量や貨物量が一定規模以上の荷主・物流企業を指定する「特定事業者」の基準でたたき台も示した。このうち、発・着荷主は年間の取扱貨物重量が多い順に、運送企業により国内で運ばれた貨物量の半分程度の規模となる事業者を指定したい考え。倉庫は保管量が多い順に国内貨物量の半分程度になる企業を、運送は保有車両台数が多い順に日本全体の貨物量の半分程度になる企業の指定を想定している。
 また、特定事業者に義務付ける中長期計画については、各所管大臣の判断基準に基づいた内容とし、5年に1度提出してもらう案を示した。
 合同会議では他にも、効率化のために取り組むべき措置の実施状況評価で前提となる荷待ち・荷役時間の算定方法、特定事業者の荷主に選任を義務付ける「物流統括管理者」の業務内容、物流改善の評価・公表内容なども検討していく。