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24/07/09

国交省、デジタコ装着率で目標案 27年85%に引き上げ

 事業用トラックでのデジタルタコグラフ活用に向け、国土交通省は2027年の装着率を、24年比5ポイント増の85パーセントに高める目標を設定する方向で検討している。ドライバーの労働規制が強化される中、車載器の普及を通じ、運送企業に安全と労務管理を徹底させる。夏ごろにも装着目標と普及策を決定し、導入補助の拡充などで必要な費用を、来年度予算概算要求に反映させる。
 7月4日に開催したデジタコ普及促進に向けた有識者検討会で案を示し、委員からおおむね承認を得た。現在、タコグラフ装着が義務化されている総重量7トン以上、または積載量4トン以上の事業用トラックを中心に普及させる。アナログタコグラフからデジタコへの切り替えを促し、27年の装着率を24年の約80パーセントから、85パーセントに高める考えだ。
 貸し切りバスでは4月から、デジタコ装着の段階的な義務付けが始まっており、制度改正時の装着率と同じ数値をトラックの目標にすることにした。法定3要素の速度、走行距離、走行時間を記録可能な保安基準を満たす車載器を対象とする。
 普及促進のため、国交省はデジタコ活用の利点を周知するとともに、運送企業向けの補助制度を見直す。5~6月、同省が運送企業に行った調査では、運送企業に活用しない理由を尋ねたところ、導入費用の負担を懸念する声が多かった。

毎年状況確認し将来義務化

 現在、国交省が展開する補助事業は中小を対象とし、デジタコ装着の有無は要件になっていない。今後は装着していない運送企業を優先する仕組みに見直すことを検討していく。加えて、保有車両10台未満の企業への補助率を引き上げることも視野に入れる。
 機器は、安全運転管理と労務管理機能を持つことを補助対象の条件とする方針。リアルタイム動態管理ができるといった、デジタコの機能に応じて補助率を大きくすることも検討していく。
 国交省は夏ごろ開催の次回検討会で、装着目標と普及策を決定し、来年度の予算概算要求に必要な費用を反映させる。毎年、普及率の確認も行いながら、将来的なデジタコの義務化も検討する。
 デジタコ普及促進は、政府が昨年まとめた物流政策パッケージに盛り込まれた施策。ドライバーの残業上限規制に伴う物流停滞が懸念される中、効率化と生産性向上を図る観点から、デジタコの活用が重要としていた。