• 統計・データ

24/04/22

23年度のコンプラ違反倒産、運輸・通信は52件

 帝国データバンクによると2023年度のコンプライアンス違反による企業倒産は、前年度比16・6%増の351件だった=グラフ1。3年連続で前年度を上回った。「運輸・通信」は52件で全体の14・8%を占め、業種別では4番目の数字だった。最も多かったのは「サービス業」で、88件。次いで、「建設業」が61件、「小売業」が57件だった。


 違反累計別では、「業法違反」が全体の23・9%に当たる84件で最多。次いで「粉飾」が同23・1%に当たる81件だった。粉飾はコロナ禍前から増加傾向にあったが、20年のゼロゼロ融資などの各種支援策の効果もあり、表面化しづらい状況が続いていた。だが、アフターコロナで資金調達環境や経済環境が変わる中で、再び増加傾向を示している。
 さらに、粉飾決算を伴う倒産企業の中には、負債額が50億円を超える大型倒産もみられ、金融機関をはじめとする多くの取引先を巻き込むケースが相次いでいる。また、コロナ禍の雇用調整助成金などの各種補助金・支援金の「不正受給」は、前年度から2・5倍に急増している。
 23年度の倒産件数全体が前年度比30・6%増の8881件と増加傾向で推移する中、コンプラ違反倒産は3年連続の高水準。コロナ融資で過剰な債務を抱えた企業が、資金繰りの悪化から金融機関に返済猶予や追加支援を申し入れたタイミングで粉飾決算が発覚し、金融支援の道を断たれて行き詰まるケースなどがみられたという。
調査は、23年4月~24年3月のコンプラ違反倒産(法的整理のみ・負債1000万円以上)について分析した。帝国データは「引き続きコンプライアンス違反に対する社会の目は厳しく、ささいな違反でも信用が大きく失墜する事態になりかねず、企業経営者にはあらためて法令順守による健全経営の意識が求められる」とコメントした。