• 行政・業界団体

24/04/02

国交省・業務前自動点呼、年度内早期に先行実施

 人の代わりにロボットなどが点呼を行う「自動点呼」について、国土交通省は今年度の早い時期に、業務前で先行実施できるようにする。要件をまとめた先行実施要領を発出した上で、実証と位置付けて希望企業を募る。トラック業界の強い要望を受けたもので、運行管理の高度化を通じ、ドライバーと運行管理者の負担を軽減する。
 自動点呼は、国が認定した点呼支援機器を使って、運行管理者の代わりにドライバーの点呼や運行指示を行う制度。昨年1月から業務後に限定して導入された。業務前は業務後より厳しい安全管理が必要なため、国交省はトラック、バス、タクシー各社と実証実験を行いつつ、機器の性能要件などを検討している。
 国交省によると、業務後自動点呼を実施するため、昨年4~9月にトラックからの届け出を受領した件数は389件。バス、タクシーを合わせた全体の9割以上を占め、特にトラックからは、業務前でも自動点呼の早期導入を求める要望が多かったという。
 また、これまでの業務前自動点呼の実証実験で業務不可となるケースがなく、運行管理の高度化を検討する国交省の作業部会の委員からは「(実証例を増やし)業務不可となったケースを収集することができれば、要件の検討がさらに進む」との意見が出ていた。これらを踏まえ、同省は今年度の早い時期に先行実施できるよう、準備を整えることとした。

参加企業募り国が可否判断

 業務前自動点呼の先行実施は実証と位置付け、業務後自動点呼の要件を満たした上で、さらに今後まとめる要件をクリアすることを条件とする。希望企業は実施要領に基づいて申請し、国交省が要件の順守状況を確認して可否を判断する。先行実施状況は同省の作業部会で報告し、将来的な制度化に向けた要件を検討する際の参考にする。
 実施中は国交省への定期的な状況報告が必要。業務不可となったり、健康状態の悪化で運行中断に至ったりしたケースでは、個人が特定されない形で、ドライバーの自己申告状況や生体データなどの報告を求める。
 具体的な実施要件は、機器・システム、施設・環境、運用上の順守事項の3つで構成。例えば、機器・システムでは、ドライバーの健康や疾病、疲労、睡眠に関わる情報で過去の結果傾向と異なる状態が認められる場合、運行管理者にすぐ警報や通知を出し、点呼を中断する機能があることなどを条件とする考え。
 運用上の順守事項は、業務前自動点呼の開始から1カ月間は運行管理者立ち会いの下で行い、その後は可能な限り同席なしで実施するといった要件を検討していく。