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24/02/19

運輸審議会、標準的な運賃で公聴会

 

6人の委員を前に、公述人が賛成・反対の立場から意見を述べた

 新たな標準的な運賃を審議するため、国土交通相の諮問機関である運輸審議会は13日、都内で公聴会を開催した。公募で選ばれた2人が一般公述に臨み、賛成の立場で意見を述べた全日本トラック協会の馬渡雅敏副会長は「運送業界としては、国土交通省が示した所要の見直しについて全面的に賛成する」とし、速やかな告示を求めた。
 公聴会では冒頭、国交省の小熊弘明貨物流通事業課長が標準的な運賃の見直し経緯や内容に触れた上で、告示後は荷主、運送企業に対し、趣旨や具体的な活用事例の周知を徹底していくと説明。運賃交渉を後押しするため、標準的な運賃と実際の契約数との関係やドライバーの賃上げ状況の把握、トラックGメンによる是正措置も徹底するとした。

荷主交渉時の大きな後押し

 一般公述では、2人の公述人が賛成、反対の立場から意見を表明した。全ト協の馬渡副会長は、「標準的な運賃は今後もトラック運送企業が荷主と運賃交渉を行う際に大きな後押しとなる」と強調し、「公表された案をはじめとした内容で見直してほしい」とした。
 加えて、行政に対し、見直しの趣旨を荷主に正しく理解してもらえるよう、関係省庁が理解促進を図る活動を展開することや、運送企業が交渉で活用できる分かりやすい解説書の作成を求めた。
 一方、反対の立場で公述した会社員の加藤光世氏は3つの理由を説明。まず指摘したのが標準化の定義で「標準的な運賃として告示するなら、誰に対して支払われるべき運賃の標準で、上限・下限どちらの運賃によって標準的なのかを明確にする必要がある」とした。
 また、導入を予定する下請け手数料も、「利用手数料の標準化を定めるのなら、荷主からの支払い法定下限値、利用運送からの収受法定下限値を決める必要がある」と指摘。告示後、何年に1回のペースで標準的な運賃を見直すかなどの記述がないことにも触れた。
 運輸審は公聴会後も複数回審議を続け、妥当と判断すれば、新たな標準的な運賃が告示される。