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24/02/06

国交省、2社に初の「勧告」 王子マテリア、ヤマトに

 下請けとの適正取引を阻害する疑いのある行為を是正するよう要請したにもかかわらず、改善がなかったとして、国土交通省は1月26日、貨物自動車運送事業法に基づき王子マテリアとヤマト運輸に勧告し、社名公表した。荷主対策強化のため2019年に制度を創設以来、是正勧告は初。同省は2社に対し、早急な是正を促すとともに、改善計画の提出を指示した。
 国交省によると、王子マテリアは22年8月、国交相による働き掛けを受けた後も、同じ工場で3時間を超える荷待ちが疑われるとして、改善の要請を受けた。だが、その後も違反原因行為に関する情報が同省に相当数寄せられ、疑うに足りる相当な理由があると認められたことから、改善勧告し社名公表した。
 ヤマト運輸は22年11月、働き掛けを受けて改善に着手した矢先、全社レベルでの安全対策の情報共有が不十分で、他の拠点でも過積載運行の指示が疑われたため、国交省が要請を実施。要請後も、過積載以外に、契約にない付帯業務、運賃・料金の不当な据え置きといった複数の違反原因行為を疑うに足りる理由が認められたことから、勧告・公表に至った。

改善計画指示し確認を継続

 国交省は19年7月、荷主対策強化のための制度を創設。荷主に対し、運送企業が法令を順守して事業を行えるよう配慮義務を新設した上で、恒常的な荷待ち、契約にない付帯業務などの違反原因行為が疑われる場合、まず配慮への理解を求める働き掛けを行い、その後も改善がなければ、要請、勧告に切り替える。
 初の勧告を受けた2社のうち、王子マテリアは「トラック運送会社の長時間労働防止に向け、改めて取り組みを強化しながら、関係者の信頼回復に努める」。ヤマト運輸は「再発防止に向けた取り組みを確実に実施し、関係者の信頼回復に努める」とコメントした。
 国交省は2社に改善計画の提出を指示し、今後もトラックGメンによるヒアリング、現地訪問などを実施していく。