- 統計・データ
24/02/01
物流24年問題、企業の7割が「マイナス影響」懸念
帝国データバンク(TDB)によると、ドライバーの残業上限規制に伴う「物流の2024年問題」で、「マイナスの影響がある」と回答した企業は約7割(68・6%)だった=表①。問題への「対応あり(予定を含む)」の企業は62・7%で、運賃の値上げや配送スケジュールの見直しなどを進めている。一方、26・4%は「特に対応しない」と回答。4社に1社は「対応する必要がない」や「4月以降に問題が生じた際に対応を検討」などの段階にとどまっている。
「マイナスの影響がある」の回答は、物流に限定しない「24年問題」全般では59・9%だが、物流24年問題では8・7ポイント跳ね上がった。具体的には「物流コストの増加」が66・4%、次いで「人件費の増加」が41・0%、「人手不足の悪化」が40・0%、「配送スケジュールの見直し」が32・4%。卸売業、農・林・水産業、小売業を中心に、物流コスト・製品単価の上昇、納期遅延などの負担増を懸念している。
物流24年問題に対する具体的な対応策は「運送費の値上げ(受け入れ)」が43・3%=表②。特に、運輸・倉庫業、卸売業、農・林・水産業では5割以上。企業からも「物流コストアップは交渉で抑制したいが、一定程度は受け入れる」などの声があがっている。次いで、「スケジュールの見直し」(36・3%)、「運送事業者の確保」(24・9%)、「発着荷主と運送事業者双方での連携強化」(24・2%)、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの「業務のシステム化や効率化の推進」(20・2%)などが上位に並んだ。
一方、「特に対応しない」理由は「これまで通りで問題が生じず、対応する必要がない」が34・6%。次いで、「2024年4月以降、問題が生じた際に対応を検討する」(33・6%)、「自社だけでは対応策が検討できない」(27・5%)、「どのように対応すればよいか分からない」(15・8%)だった。
求める支援策や政策では、補助金や助成金などの「金銭的支援」が34・0%、「人材育成・確保支援」が32・3%。次いで「高速道路料金などの見直し」(29・3%)、「時間外労働の上限規制の猶予期間の延長」(26・6%)「ルールなどの周知徹底」(21・5%)だった。
また、物流24年問題で「プラスの影響がある」とした企業は1・5%にとどまったが、「長い目で見れば自由な時間が増えるため、若い人も入りやすくなり、運送業界にとっても良いはず」との声も寄せられた。
TDBは23年12月18日~24年1月5日、「TDB景気動向調査2023年12月調査」と併せて同調査を実施した。設問はいずれも複数回答。全国2万7143社を対象に、1万1407社の回答をまとめた。