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24/01/18

23年のトラック倒産、過去10年で最多の328件 燃料高&人手不足が直撃

 東京商工リサーチによると、2023年のトラック運送業の倒産は、前年比32・2%増の328件だった。14年(310件)から9年ぶりに年300件を上回り、過去10年間で最多。負債総額は同58・5%増の601億円だった=グラフ。ドライバーの残業上限規制に伴う「24年問題」を前に、燃料高と人手不足が直撃した。
 原油高や円安による燃料費高騰などが影響した倒産が同75・3%増の121件、ドライバーなどの人手不足に関連した倒産が同2・2倍の41件だった。特に価格転嫁が難しい小・零細事業者の倒産が増えた。
 倒産の原因別では、最多の「販売不振」が同36・2%増の237件で、全体の7割を占めた。次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が同横ばいの35件、「他社倒産の余波」が同36・3%増の15件。「事業上の失敗」(同42・8%増)と「運転資金の欠乏」(同5倍)が10件で続いた。既往のシワ寄せと販売不振、売掛金などの回収難が重なった「不況型」倒産は同31・5%増の275件で、全体の8割にのぼった。
 形態別では、消滅型が同31・8%増の306件で、「破産」が同32・8増の299件と、全体の9割を占めた。特別清算は同横ばいの7件。再建型は民事再生法の8件(同横ばい)にとどまった。業績低迷から経営を立て直せないまま、消滅型を選択せざるを得ない実態が浮き彫りになった。このほか、取引停止処分は同75%増の14件。
 倒産企業のうち、資本金別では「1000万円未満」が同63%増の238件で、全体の7割だった。負債額別は「1億円未満」が同23・5%増の189件で、全体の6割。従業員数別では「10人未満」が同26・1%増の212件で、全体の6割超を占めた。
月別では、12月は前年同月比36・6%増の41件で、23年の月次最多を記録した。月間40件台に乗せたのは、13年6月以来10年6カ月ぶり。
 調査は、負債1000万円以上の倒産集計から日本標準産業分類「道路貨物運送業」の23年(1~12月)を抽出、分析した。東京商工リサーチは「運送業界の構造改革と同時に、企業側も物流体制の見直しが急務」と見ている。