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24/01/17

国交省、軽貨物運送で安全管理者など義務付けへ

 軽貨物自動車運送の安全対策を強化するため、国土交通省は貨物自動車運送事業法を改正する方針を固めた。新たに「貨物軽自動車安全管理者(仮称」の選任や国への事故報告などを義務付ける。一般貨物自動車運送とほぼ同じ制度に見直すことで、事故防止につなげる狙いがある。
 昨年12月26日に開催された軽貨物自動車の安全対策を検討する適正化協議会で案を示した。大手インターネット通販会社や運送元請け、業界団体などの委員も了承し、今通常国会での改正法案提出を検討している。

 現在、軽貨物運送は運行管理者の選任や事故報告、乗務記録の作成・保存などが義務付けられておらず、一般貨物運送と安全対策の制度で差がある。安全に不可欠な知識や意識が低いことも課題で、国交省が昨年春、軽貨物運送を手掛ける首都圏と近畿圏の個人事業主に行った調査によると、25%が運行管理を実施していないと回答。日常点検や12カ月点検も30%ほどが実施しておらず、安全面の課題が浮き彫りとなっていた。
 検討中の新たな制度では、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者の選任を義務付ける。一般貨物運送の運行管理者と同じような仕組みで、管理者選任時と、2年ごとに定期講習を受講させる。バイク便は対象としない。また、死傷者を出すなど一定規模以上の事故を起こした場合、地方運輸局や運輸支局を通じて国交相への報告を義務化する。軽貨物を手掛ける企業、個人事業主に発出した輸送確保命令や、行政処分などの情報も国交省のホームページでの公表対象に加える。
 ドライバーには一般貨物と同じく、業務開始に当たって受診する初任診断や65歳以上が対象の適齢診断、事故を起こした場合の特定診断といった適正診断を義務付ける方針。業務開始・終了地点や従事した距離などを記載する業務記録や、事故記録の作成と保存も義務化していく。