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24/01/17

国交省、軽貨物の車両共同使用で新制度検討

 軽貨物自動車運送の安全対策の一環として、国土交通省は来年度にも、新たな制度を創設する。事前に協定を結ぶことを前提に、個人事業主が企業や別の個人事業主と、事業用車両を共同使用できるようにする。
 新たな制度は2023年、ドライバーの残業上限規制に伴う24年問題に対応するため、政府がまとめた物流政策パッケージに盛り込まれた施策。軽貨物運送は個人事業主が多く、車両1台で仕事を行うため、点検・修理の時間や費用を抑え、必要な安全対策が講じられていない課題がある。昨年、国交省が首都圏と近畿圏の個人事業主に調査を行ったところ、約3割が日常点検や定期点検を実施できていない、実施していないと答えていた。
 現在、他の運送企業から車両を借りる場合、地方運輸支局に使用車両の変更届の提出や、車検証の書き換えが必要だった。同業者間で車両を共同使用できる制度の創設により、安全を確保した上で、事業を継続しやすい環境を整備する。
 新制度は車両番号、運行管理・車両管理の主体、事故時の責任関係などに関し、関係者間で事前に協定を締結することが必要。条件を満たせば、運輸支局への使用車両の変更届といった手続きを行わなくても、他の企業が保有する事業用車両を共同使用できるようにする。企業だけでなく、個人事業主同士の使用も認めていく方針だ。
 国交省は来年度、車両の共同使用の他、軽貨物に特化した指導・監督マニュアルの作成、法令セミナーの実施、eラーニングシステムの導入なども進める計画で、個人事業主を中心に安全や法令意識の向上を図り、事故防止につなげていく。