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23/12/19

倉庫税制、荷待ち目標20分以内に 要件引き上げて2年延長

 自民、公明両党は12月14日、2024年度の与党税制改正大綱を決定した。物流関係で焦点だった倉庫税制は、法人税・所得税の割り増し償却を受けるための要件として、トラック予約受付システムの機能追加や荷待ち削減目標の短縮を加えた上で、2年間延長する。
 倉庫税制は、改正物流総合効率化法の総合効率化計画の認定を受けた倉庫の法人税・所得税や固定資産税の負担を軽減する特例措置で、現行制度は来年3月末に期限を迎える。国土交通省は来春のトラックドライバーの残業上限規制に伴う24年問題に対応できる措置を追加した上で、特例措置の延長を目指していた。
 改正物効法では、2者以上が連携し、特定流通業務施設を整備し輸送網を集約する際、立地や建物の構造、延べ床面積、トラック予約受付システム導入など、国が定める要件を満たせば特例措置を受けられる。立地では高速道路インターチェンジから5キロメートル以内、延べ床面積では平屋普通倉庫で3000平方メートル以上などの要件を定めている。
 来年4月以降、法人税・所得税の割り増し償却を希望する場合には新たに、トラック予約受付システムで入出庫する商品の種類や数を入力できるものにすることを求める。ドライバーが倉庫の受付で入出庫品について書いた伝票を渡した後、倉庫側で照合しておりドライバーを待機させる原因となっているためだ。
 加えて、以前から総合効率化計画申請時に、運行ごとに記載する荷待ち時間の削減目標を引き上げる。現在30分以内の基準を20分以内とする。荷役時間も、総合効率化計画に記載された目標時間より減らすことに加え、会社が保有する物効法認定を受けていない倉庫の平均荷役時間を下回ることを求める。いずれも毎年度、審査する。

AIカメラはさらなる減免

 倉庫の固定資産税・都市計画税の割り増し償却を希望する場合の設備要件も見直す。23年度はトラック予約受付システムの導入、または営業所・車庫の設置のいずれかを選択すればよかったが、トラック予約受付システムを必須とする。
 さらに、トラックの車番をAIが解析し、倉庫への入場状況が分かるカメラを設置した場合、機器にかかる固定資産税のみ、課税標準が5年間半額となる。他の機器は従来通り、同4分の3だ。
 法人税・所得税、固定資産税・都市計画税の割増償却率は現行と同じ。
 国交省は、倉庫のDX(デジタルトランスフォーメーション)によるドライバーと庫内作業員、事務員の労働時間削減を目指しており、改正物効法の認定要件を見直すことで、作業の生産性向上や倉庫周辺のトラックの待機時間削減につなげたい考え。