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23/12/19

リチウムイオン電池、危険物倉庫の規制緩和 消火設備設置など条件に

 消防庁はこのほど、リチウムイオン電池の保管方法の規制を見直した。電解液のみを貯蔵する危険物倉庫について、一定基準以上の消火設備を設置するなどの条件を満たせば、保管面積、天井の高さなどの要件を緩和できる。EV(電気自動車)需要が高まる中、自動車業界を中心に規制緩和を求めていた。
 リチウムイオン電池の主材料の電解液は危険物に当たる。引火点は42~43度のものが多いとされ、1000リットル以上保管する場合、危険物倉庫で扱うことが義務付けられている。
 一方、危険物倉庫は平屋建てで、延べ床面積は1000平方メートル以下、軒高6メートル未満などの基準がある。EVの普及でリチウムイオン電池の需要が急増し、荷主のコンプライアンス(法令順守)意識の高まりから、危険物倉庫の需要が高まる中、規制改革を求める声が上がり、消防庁は昨年から、有識者検討会で議論を重ねていた。
 12月7日施行の改正省令では、電解液のみを貯蔵する施設に関し、第2種型スプリンクラー設備などの設置を条件に、各階の床を地盤面以上に設けるとともに、上階の天井、または軒高を12メートル未満とするよう規程。壁、柱、床、はりは耐火構造とし、階段を不燃材料で造ることも定めた。
 延焼の恐れがあるため、外壁の開口部は出入り口以外に設けないことや、2階以上のフロアにも原則設けないことを規定した。蓄電池の充電率は60%以下とし、保管時は水が浸透する素材で包装、こん包することも求めた。
 また、リチウムイオン電池を載せるパレットについて、検討会の報告書では、簡単に消火できないことから樹脂製パレット以外を使用することが盛り込まれたが、消防庁は法令での義務付けは行わない方針。欧米の基準で樹脂製パレットの使用が禁止されていないことや、欧米と同等のスプリンクラー設備を設置すれば、火災の安全性が確保されるとし、推奨事項として運用通知や各種講習会で周知するとした。