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23/12/11

北海道新幹線、国交省が貨物区間の在り方検討

 北海道新幹線の札幌延伸で、JR北海道から経営分離する函館―長万部間の貨物鉄道の在り方に関し、国土交通省は11月29日、札幌市で有識者検討会議を開催した。地元経済界の意見を聞きながら、貨物鉄道を維持した場合と、鉄道が担う全量を他の輸送モードに代替した場合の利点・課題などを整理する。2026年春ごろをめどに提言をまとめる方針だ。
 札幌延伸に伴い経営分離する区間のうち、函館―長万部間は貨物鉄道が走るルートで、廃止すると、北海道と本州を結ぶ物流に影響を及ぼすことが指摘されている。一方、維持する場合は、誰が鉄道施設を保有してメンテナンスを行うのか、保線費用をどう賄うのかといった課題がある。
 このため、国交省は北海道、JR北海道、JR貨物を集めた情報連絡会を設置。今年7月にまとめた論点整理で、「鉄道を廃止し、船舶など他の輸送手段で全量代替する方針は、解決困難な課題が多くあることを確認した」とし、年内に検討会議を立ち上げ、北海道の物流企業や産業団体、自治体にヒアリングを行い、課題などを共有する必要があるとしていた。

26年春ごろにも最終結論へ

 今回設置された検討会議は4人の大学教授に加え、北海道経済連合会、ホクレン農業協同組合連合会などの経済団体、JR北海道、JR貨物で構成。初会合ではこれまでの状況を確認した。
 今後3~4カ月に1度の頻度で会議を開催し、ヒアリングを行いながら、現在の貨物鉄道機能を維持した場合と、鉄道が担う全量を船舶などに代替した場合のメリット、課題を整理する。25年3月をめどに中間まとめを行い、その後、個別課題の解決方策を具体的に検討していく。
 「情報連絡会の論点整理は実務者間でまとめた。現地の声を収集しながら課題を確認したい」(国交省)。札幌延伸を巡っては、並行在来線の方向性を話し合う対策協議会の渡島ブロック会議が25年度までに方向性を示すことから、貨物鉄道の検討会議も同じタイミングで最終結論を出す見通し。国交省は「国交相や北海道知事が判断する材料とするための提言をまとめたい」としている。