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23/10/23
大型車の最高速度引き上げ、警察庁のヒアリングにメーカーが見解「時速90km前提に設計」
総重量8トン超のトラックの高速道路での最高速度引き上げについて、警察庁は10月5日、有識者検討会を開き、関係者に実施したヒアリング結果を示した。このうち、メーカーからは、スピードリミッター上限設定速度の時速90キロメートルまでは安全性を保証できるが、100キロメートルは走行試験を行っていないことが指摘された。運送企業からも、安全やドライバーの負担増への懸念が挙がった。
速度制限の見直しは、ドライバーの残業上限規制に伴う2024年問題の解決に向け、政府が6月にまとめた「政策パッケージ」を受けたもの。輸送力不足による物流停滞を避けるには、効率化と生産性向上が必要とし、最高速度を引き上げる方向で調整するとの方針が盛り込まれていた。
トレーラーと一体で検討を
5日の検討会では、車両メーカーと運送企業へのヒアリング結果が示された。このうち、トラックメーカーからは、設計や走行試験はスピードリミッター上限の時速90キロメートルを前提とし、「90キロメートルまでの引き上げであれば問題ない」と説明。一方、時速100キロメートルは設計も走行試験も行っていないとした。
トラクターも大型トラックと同じく時速90キロメートルを前提としているとした上で、「トレーラーの性能とセットで考える必要がある」と回答した。トレーラーメーカーからは、走行試験は時速80キロメートルを前提とし、90キロメートル、100キロメートルでは行ったことがないとした。
運送企業間で賛否分かれる
運送企業へのヒアリングでは、最高速度の引き上げのメリットとして、目的地までの時短による輸送品質や労働生産性の向上、ドライバーの休息期間の拡充が挙がった。デメリットでは、交通事故の増加や事故発生時の被害の重大化、メーカーで新たな車両開発が必要となった場合の車両単価の上昇、ドライバーの疲労度・緊張度の醸成などの意見が聞かれた。
また回答の中には「最高速度の引き上げで一定効果はあるが、24年問題の根本的な解決にはならない」との指摘も。「荷待ち時間の短縮をはじめ、物流負荷の軽減が図られることが重要」「より遠く、荷主からより早く運ぶことを求められることで心理的負担が大きくなり、交通事故につながることを懸念している」とする回答もあった。
検討会では労働組合へのヒアリング、一般ドライバーへのアンケート調査も行った上で、次回で提言の骨子案を示す方針。その後年内をめどに提言をまとめる計画だ。