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23/10/19

車輪脱落事故、昨年度140件で過去最多

 2022年度に発生した大型車の車輪脱落事故が、過去10年間で最多だったことが国土交通省の調べで分かった。冬用タイヤの履き替えが本格化するのを前に、同省は10月~来年2月を車輪脱落事故防止キャンペーンと位置付けて対策を呼び掛けており、必要な整備・点検を行わず、脱輪事故を起こした企業には行政処分を科す方針だ。
 国交省によると、昨年度の大型車の車輪脱落事故は前年度比17件増の140件。このうち、全体の66%に当たる93件は11~2月の間に発生した。タイヤの脱着から脱落事故発生までの期間では、1カ月以内が74件で最も多かった。
 どこに本拠を置く車両が事故を起こしたかについては、東北が54件で、次に多かった北海道(17件)の3倍超だった。事故のあった140件のうち、どの位置のタイヤが脱輪したかに関しては、左後輪が全体の94%を占めた。

10月からは行政処分も開始

 大型車の車輪脱落が起きると、大事故につながることから、国交省は近年、対策を強化している。今年度も10月~来年2月を車輪脱落事故防止キャンペーンの期間と位置付け、啓発ポスターやチラシを作成。タイヤ脱着時のワッシャー(座金)付きホイール・ナットの点検や、清掃・各部位の潤滑剤の塗布、タイヤ脱着作業後の増し締めなどを呼び掛けている。
 また啓発活動と併せ、国交省は1日から、総重量8トン超の車両でタイヤの脱落事故を起こした運送企業への行政処分を開始。初違反には20日車の行政処分を、3年以内に再び違反した場合は40日車の処分を科した上で、管轄する地方運輸局が該当する整備管理者に解任命令を発令する。
 車輪の脱着が降雪予報の後に集中した結果、不適切な脱着作業が行われていたこともあることから、運送企業に対し、余裕をもって冬用タイヤの交換を行うことも要請している。