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23/10/02

厚労省、1日から安全対策強化のため昇降設備など義務化拡大

 厚生労働省は1日、トラックで荷役作業を行う際の安全対策を強化した。最大積載量5トン未満の車両で作業する時も、昇降設備の設置や保護帽(ヘルメット)の着用を義務付けた。労働生産性を高めるため、近年導入が広がるテールゲートリフターについても、企業は荷役作業の特別教育を行うことが必要になる。
 見直しは昨年、荷役作業の安全対策を話し合う陸上貨物運送事業労働災害防止協会の検討会がまとめた報告書を踏まえたもの。トラックの労災が高止まりする中、労働安全衛生規則の改正省令を施行し、荷役作業時の事故を防ぐ。

2t超5t未満の車が対象

 

保護帽義務化対象車の例

 

 昇降設備は従来の最大積載量トン超に加え、2トン超5トン未満の車両にも設置を義務付けた。代表的なのは踏み台など可搬式タイプ。トラックに設置した昇降用ステップの場合、上からステップが見えないものは墜落・転落リスクが高いため、より安全な設備の設置が必要になる=イラスト上。また昇降用ステップは可能な限り乗降グリップがあり、三点支持で昇り降りできるものを推奨している。
 保護帽は2トン超5トン未満のトラックのうち、荷台側面が構造上開放されているか、または開閉可能なものを義務付け対象とした=イラスト下。具体的には平ボディー、ウイング、テールゲートを設置したバン型トラックが該当。テールゲートを設置しないバン型は義務化せず、着用が望ましいとした。保護帽は型式検定に合格した製品を使う必要がある。
 10月からは、企業に対しテールゲートで積み降ろしを行う作業員への特別教育も義務化した。教育は2種類。学科では、テールゲートに関する知識を1時間半、機器を使った作業に関する知識を2時間、関係法令を30分教える。実技では、操作方法を2時間学ばせる。

特別教育、一定条件で省略

 1日時点で、例えば6カ月以上の業務従事歴を持つ作業員は、学科のうちテールゲートに関する知識の教育を45分以上に、実技を1時間以上に短縮可能。トラックの荷役作業の安全対策ガイドライン(指針)に基づく教育を受けた作業員の場合、テールゲートや作業に関する知識の教育を省略できる。企業は受講者、科目などの記録を作成し、3年間保存することも義務付けられた。
 厚労省はポイントをまとめたリーフレットを作成。ホームページ上で無料配布している。