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23/09/27

商用車の電動化補助金、好評で申請額6割達し 万全の供給に期待高く

 今年度、環境省などが新設した商用車の電動化促進事業に対し、トラック運送企業の申請が伸びている。執行団体の環境優良車普及機構(LEVO)によると、募集開始から3カ月弱で、総額約126億円の予算のうち、6割を超える申請があった。一方、今後のポイントはメーカーの供給で、企業からは申請条件の期間中に新車登録が間に合うことへの期待が高まっている。
 電動化促進事業は、環境省や国土交通省などが新設したもので、今年度はトラックとタクシーが対象となる。運送企業の導入を集中的に支援することにより、車両価格の低減や技術開発の促進につなげ、運輸部門の二酸化炭素排出量の削減と、価格競争力を高めるのが狙いだ。脱炭素を目的に発行する「GX経済移行債」を活用し、予算総額は約136億円。このうち、トラックには約126億円を充てる。
 補助事業の募集は6月下旬から始まり、LEVOによると、今月21日時点で申請台数は1529台。申請額は総額の6割超に当たる約79億5400万円となった。残額は約46億4500万円で、企業の中には電気トラックを導入するため、これから補助金の活用を計画するケースもある。

急激な需要増に心配の声も

 一方で、企業からは「メーカーによる納車をスムーズに進めてほしい」との声も聞かれる。背景には、補助申請の条件の一つとして、4月3日~来年1月31日に新車登録を済ませなければならないことがある。
 近年、運送各社は架装の遅れなどを理由とした納車待ちに悩まされてきた経緯がある。コロナ禍では、世界的に半導体・部品不足が発生し、深刻な車両供給不足が起きた。現在は解消されつつあるが、発注後すぐに使用できない状況が続く。
 「電気トラックもディーゼルトラックと供給原理は同じ。急激に需要が高まる中、供給が追い付くのか心配になる」とある大手物流企業。別の中堅物流企業も納車待ちによる苦労を指摘した上で、「計画通りに車が届くよう、メーカーに期待したい」とする。
 企業から期待の声が上がるのに対し、三菱ふそうトラック・バスは「(電気小型トラックを)購入したいユーザーに対し、可及的速やかな提案と納車をすべく万全の体制で準備していく」と説明。いすゞ自動車は「商談はユーザーの個別の運用状況を慎重に確認しながら進めている。納車については、ユーザーの架装の内容により要する期間は異なる」としている。
 物流の脱炭素化を進める中、電気トラックをはじめとする電動車は有効な手段で、企業の投資意欲も高まりつつある。その分、メーカーに対して確実な供給を求める声が強まっている。