- 行政・業界団体
23/09/13
業務前自動点呼、管理者同席なしで実験 結果踏まえ制度化検討
人の代わりにロボットが点呼を行う自動点呼を業務前でも導入できるかを検証するため、国土交通省は9月から、実証実験の2次期間を開始した。ドライバーが自動点呼を行う際、運行管理者が同席しない状況でも運用可能かを確認する。年内にも作業部会に結果を報告し、今後の制度化につなげる方針だ。
実験は、トラック、バス、タクシーの各業界団体から推薦のあった計13社17営業所で実施。このうち、トラックは長・短距離、ルート配送、企業規模といったさまざまなことを踏まえて検証する必要があることから、日本通運、アキタなど9社が参加した。
2段階に分けて行われ6月から1カ月ほど行った1次期間は、運行管理者が同席した上で自動点呼を運用。9~10月に実施する2次期間は、運行管理者の営業所への出勤を必須とするが、立ち会いなしで点呼を行う。
対面との安全に差見られず
成りすましを防ぐため、点呼の抜き打ちチェックや監視カメラを設置させたり、緊急時は対面で補わせながら、点呼を確実に行えるかを確認する。
また、国交省は8月29日に開かれた運行管理の高度化を検討する作業部会で、委員に1次期間の実験結果を報告。参加企業へのヒアリングでは「点呼の確実性が向上した」といった声が聞かれた半面、「対面点呼と比べて所要時間が倍以上かかった」「(機器の)技術が進展することに期待したい」などの意見があったことを紹介した。
1次期間中には、対面点呼と比較してヒヤリハットの件数に違いがあったかの評価も実施。自動点呼は実験に参加した13社で計358件だったのに対し、対面点呼は523件となり、国交省は運行の安全性に大きな差はないとみている。
業務前点呼はドライバーの健康管理などを正確に把握し、乗務可否を判断する必要があるため、国交省は2次期間の実験結果を踏まえ、来年度に制度化に向けた検討を行えるかを判断する。