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23/08/28

国交省、タイヤ脱落で行政処分

 国土交通省は10月1日から、必要な点検・整備を行わず、総重量8トン超の車両でタイヤの脱落事故を起こした運送企業を行政処分の対象とする。この数年、同省は啓発活動を通じて関係者に対策を呼び掛けてきたが、事故の防止にはさらなる対応が必要と判断した。
 新たな対応は昨年12月、大型車の車輪脱落事故防止対策を調査・分析する検討会の意見を踏まえたもの。道路運送車両法の整備管理者制度の運用を改正し、整備管理者の業務・役割として、大型車を保有する場合、タイヤ脱着作業や増し締めを行ったり、点検整備記録簿、タイヤ脱着時の作業管理表の管理を行うことなどを追加する。
 運送企業がタイヤの脱落事故を起こした場合、初違反には20日車の行政処分を行う。3年以内に再び違反した場合は40日車の処分を科した上で、管轄する地方運輸局が該当する整備管理者に解任命令を発令する。「車検時に整備側がタイヤを締め忘れるなど、運送企業側に非のない脱落については処分対象とならない」(国交省)。
 国交省によると、近年、大型車のタイヤ脱落事故は増加しており、2021年度は123件発生=グラフ。これまでの分析で、脱落事故は主にタイヤ交換時の作業不備、保守管理の不備が原因で起こることが分かっており、同省はチラシや動画投稿サイトで、確実な増し締めや日常点検の徹底などを呼び掛けてきた。


 脱落事故は11~3月の冬季に集中し、冬用タイヤ交換後1カ月以内に多く発生しているため、同省は「必要な点検・整備を確実に行い、事故防止を進めてほしい」と呼び掛けている。