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23/08/28

24年度概算要求安全・環境関連、ASVなどの普及継続、次世代車補助はエネ特に

 今秋発足する国土交通省の「物流・自動車局」は、2024年度予算概算要求で事故防止や安全対策の費用として、23年度比5%増の144億4100万円を求めた。運送企業へのASV(先進安全自動車)などの導入補助に加え、近年課題となっている事故に焦点を当てた対策を講じる。


 このうち、新設予算では事業用自動車の総合安全対策実施費用として、1億9000万円を要求した。トラックではインターネット通販の需要増で、事故の増加が課題となっていることから、軽貨物に特化した指導監督マニュアルの作成や法令セミナーの開催、eラーニングシステムの導入費に充てる。来年4月に適用される改正改善基準告示の順守状況の把握、好事例の横展開のための費用としても活用する。
 運送企業がASVやドライブレコーダー、デジタルタコグラフなどを導入する際、一部費用を補助する事業には23年度とほぼ同額の13億2900万円を要求し、先進的な安全技術の普及を通じて事故防止を推進する。ASVについては、来年度から、レーダーで隣車線の斜め後ろを走る車を検知できる「後側方接近車両注意喚起装置」も補助対象に加える方向で検討する。

レベル4自動運転の予算も

 安全関連予算ではこの他、健康起因事故の防止対策予算に23年度比8%減の2億1000万円、自動車版事故調査委員会の調査予算に同43%増の1億8000万円を要求。運行管理の高度化には同47%減の8200万円を求め、遠隔点呼や自動点呼の制度設計を継続していく。
 一方、自動車の脱炭素化に向けては、同13%増の5億8300万円を要求し、官民連携で重量車の電動化技術や、水素、合成燃料といったカーボンニュートラル(炭素中立)燃料を実用化するための内燃機関の開発を強化する。毎年度、電気トラック、ハイブリッドトラックなどの次世代自動車を対象としていた導入支援は、来年度から当初予算で要求せず、エネルギー特別会計による補助事業に切り替える。
 24年度予算概算要求では他にも、レベル4自動運転の実用化に向け、システムの責任の範囲や判断の在り方などを調査する費用として、同31%増の2億4100万円を要求。自動車登録検査関係のデジタル化には同19%減の24億300万円を、自動車整備業の人材確保・育成には同74%増の2億5600万円を求めた。