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23/08/28

物流・自動車局24年度概算要求、24年問題対応が重点に

 10月に発足する国土交通省「物流・自動車局」の2024年度予算概算要求がまとまった。10月の組織改正に合わせ、自動車分野と物流分野を一体化させた予算要求となった。来春開始のトラックドライバーの残業上限規制に伴う24年問題の解決に向け、商慣行是正や効率化への支援を展開する考えだ。

 


 自動車局と物流部門が10月に物流・自動車局として統合されることに合わせ、来年度の予算要求は両分野を一体にした内容になった。
 同局の要求額は一般会計、自動車安全特別会計、財政投融資特別会計を合わせ、23年度比1・3倍の873億8100万円。担い手の確保・育成や生産性向上を含め、国交省は24年問題に対応するための予算を目玉の一つと位置付けている。
 24年問題対応では同8・5倍の182億1800万円を要求した。新規事業として、荷主・物流企業間の商慣行是正に向けた取り組み、DX(デジタルトランスフォーメーション)、パレット標準化の3つを打ち出した。
 162人の「トラックGメン」による、適正取引を阻害する荷主や元請けに関する情報の収集費、その後の調査費、貨物自動車運送事業法に基づき、違反が確認された荷主・元請けに対する働き掛けにかかる交通費に活用するため、1億7000万円を新たに要求した。
 加えて国が標準仕様と定めた平面サイズ1100×1100ミリメートル、高さ144~150ミリメートルのパレット導入推進へ、4億円を求めた。物流設備の改修費を支援するほか、パレットの個体管理も推進する。
 DXでは6億2000万円を要求。ピッキングロボットと自動倉庫の導入を新たに支援する。無人搬送車や船の荷役を遠隔操作するシステムの助成も続けることとし、ドライバー、庫内作業員をはじめとする担い手の労働時間削減につなげる。

担い手確保へ職場環境改善

 来年度要求では、補正予算から当初予算に組み入れを変更したものもある。多様な人材確保・育成に向けた取り組みと倉庫の災害対策が該当する。
 多様な人材確保に向けた要求では、同3・3倍の11億4100万円を計上。職場環境改善支援を新規事業として展開し、仮眠室やトイレ、シャワー、育児スペースの整備、車載用冷暖房機器の導入を促進する。業務効率化へ求荷求車システム導入を新たに支援するほか、人材確保・育成を目指した求職者向けイベント開催のための費用をはじめとする採用活動にかかる資金を新たに助成する。テールゲートリフターや原価計算システムへの助成も続ける。
 他に、24年問題対応では、財政投融資による物流総合効率化法認定事業への支援を大幅に拡充し、同7・3倍の145億円を要求する。来年度からダブル連結トラックに対応した共同輸送拠点や、中継施設の整備を新たに助成する。従来の立体自動倉庫や無人搬送車といった自動化の推進、電気トラック導入などの環境対応への補助も、来年度の対象に盛り込んだ。
 物流施設での再生可能エネルギー活用支援も別で行うほか、モーダルシフトや再配達削減に関する予算も事項要求する。