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23/07/24
国交省、「トラックGメン」創設
国土交通省は7月21日、適正取引を阻害する疑いのある荷主、元請けを監視する「トラック荷主特別対策室(トラックGメン)」を創設した。全国162人体制で始動し、全運送企業へのアンケート調査や現地でのヒアリングを通じ、情報収集を強化する。これまで本省が実施してきた国交相による働き掛けを、地方運輸局・運輸支局でも行えるように仕組みも見直し、既存制度の実効性を高める。
トラックGメンは、ドライバーの残業上限規制に伴う2024年問題の解決に向け、政府の政策パッケージに盛り込まれた施策。長時間の恒常的な荷待ち、適正な価格転嫁をはじめ適正取引で課題を残す中、実態の情報収集と荷主・元請けの監視体制を強化し、問題のある事案を解決する狙いがある。
本省と地方運輸局・支局を合わせ、全国162人体制で始動する。このうち、80人は他部署から緊急増員し、82人は既存定員で構成する。
これまで適正取引を阻害する荷主、元請けの情報は、国交省職員が運送企業から直接聞くほか、同省ホームページに設置された情報提供窓口や、トラック協会の適正化事業実施機関の協力を通じて収集してきた。他の業務をこなしながら情報を集めるため、提供を待つことも多かった。
一方、新体制では、行政がプッシュ型で動き、運送企業から積極的に情報を収集する。
働き掛け制度の運用も変更
具体的には今夏にも、全国6万社弱の運送企業にアンケート調査票を送付。結果を基に、適正取引を阻害する事案が起きている運送企業に対し、Gメンがヒアリングで実態を調べる。違反原因行為が確認されれば、荷主・元請けに働き掛けを行う。「Gメンは現地にも足を運ぶが、対象は運送企業。情報収集の段階で、荷主の物流センターなどに抜き打ち調査をすることは考えていない」(国交省)。
情報収集では情報提供窓口の活用、適正化事業実施機関の協力も継続する。荷主を所管する経済産業省、農林水産省以外に、厚生労働省、公正取引委員会、中小企業庁といった関係省庁との連携も推進していく。
また、働き掛けなどの実効性を高めるため、制度の運用方法も見直す。これまで本省が実施していた働き掛けに限り、地方運輸局・支局も行えるようにし、荷主・元請けの違反原因行為をすぐに改める体制とする。
19年の制度開始以来、国交省は5月末時点で働き掛けを82件、要請を4件実施。違反原因行為が確認されると、荷主・元請けは改善計画を提出しなければならず、同省は取引適正化で成果が出ているとする。監視と情報収集体制を強化することで、ドライバーの労働条件改善を図り、残業上限規制の適用に備える。