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23/06/19

物流企業、荷主共に倉庫増強ニーズ依然高く 今後3年「拡大」が57% CBRE調査

 事業用不動産サービスのCBRE(本社・東京、坂口英治社長兼CEO)が物流企業と荷主を対象に行った物流施設利用に関する調査によると、倉庫の増強ニーズは依然として高い水準で推移。今後3年間の物流拠点計画について聞いたところ、倉庫総面積を「拡大する」との回答は全体の57%を占め、「減少する」は2%にとどまった。
 また、物流企業が最も重視する施策が「新規の物流拠点開設、面積・拠点数の増強」であるのに比べ、荷主が最重視するのは「施設の統廃合、再配置による効率的な物流網の構築」=グラフ。 トラックドライバーの労働時間規制強化に伴う2024年問題への対応を背景に、物流企業が荷主に先行して物流網の拡張・再編、拠点の運営効率化などに取り組んでいるとみられる。

今後3年間で最も重視する施策で、物流企業は規模の拡大だったのに対し、荷主は効率性の向上だった(出所:CBRE「物流施設利用に関するテナント調査2023」)

 

 24年問題への対策では、物流企業の63%、荷主の50%が「他の運送会社との連携」、物流企業の44%、荷主の42%が「共同配送や積載率を上げる取り組み」を推進。運行一回当たりの輸送量増加も、倉庫スペースの需要拡大につながっているようだ。

 拠点拡張の理由では、物流企業と荷主共に「事業の拡大」との回答が最多。荷主の多くは、単に拠点数の増強ではなく、より大きなスペースへの移転で効率化を目指しているようで、「拠点の効率的な配置」「保管量・在庫の積み増し」を求める割合が共に4割近くと相対的に高かった。CBREは、コロナ禍で製造業のサプライチェーンの見直しが本格化し、倉庫を生産工場の近くや配送ルート上に配置する動きも進んでいるとしている。

荷主の2割強が「3PLに委託」

 倉庫増強の手段は、物流企業の63%、荷主の43%が「マルチテナント型物流施設の賃借」で、共に最多。また、荷主の22%が「3PLに委託」を挙げ、物流企業の事業拡大意欲を後押ししているとみられる。
 拠点の希望エリアでは、首都圏、近畿圏で依然として強い需要が見られた。特に製造業の多い大阪府や愛知県では、希望する荷主の割合が物流企業を上回っており、倉庫スペース不足が示唆された。九州では、半導体メーカー新工場建設に伴う関連企業の進出で物流量の増大が見込まれる熊本県を希望する割合が、物流企業、荷主共に増加した。
物流拠点の効率化に向けたテクノロジーの活用では、全体の67%が倉庫管理(在庫管理)システムを導入済み。仕分け搬送システムは35%が導入していた。普及とともに機器の取捨選択も進む中、テクノロジーの活用により全体の49%が「倉庫スペースは増えた」と回答。CBREは引き続き、大型先進的物流施設の需要拡大を見込む。
 調査は3月2~15日、自社・賃貸を問わず国内で物流施設を利用する企業を対象に実施。物流企業187社、荷主93社の回答をまとめた。